photo : KIOKU Keizo

ICCキッズ・プログラムにて、クワクボリョウタと山口レイコによるアート・ユニット、パーフェクトロンによる展覧会「ひかり・くうかん じっけんしつ」が行われる。

クワクボリョウタ近年の代表作《10番目の感傷(点・線・面)》は「オープン・スペース 2010」で好評を博して以降、現在も世界各地で展示されている作品で、非常にシンプルなアイディアから、思いもよらない壮大な空間の変化によって強い印象を残す体験を生み出す作品だった。

暗闇の中で、小さなLEDの光源から発される光が大小さまざまな「もの」を照らし出すと、それぞれの「もの」が持っていた属性が失われ、本来の姿とは異なった影となって現われる。その影は、懐かしい風景のようでも、未来の風景のようにも見える。影が空間全体を闇として包み込むと、それはどこか、洞窟の中で人類の祖先が見たかもしれない映像の原風景へと、わたしたちの記憶を遡行していくかのようだった。

本展では、光、もの、空間、時間、といった要素が組み合わされて生み出される影の世界を体験できる作品が展開される。
光の配置や光の動きが変わると、「もの」の影はどのようにその見え方を変えていくのだろうか。光が規則的に動く部屋で、自分でいろいろな「もの」の影を投影してみたり、光の動きによって自分の影が形を変えたり、楽しみながら、光や影の特徴などについて考え、想像力を働かせ、映像の原点を体験できる作品が展示される。
また、会場のサウンド・デザインは、気鋭の若手音楽家、蓮沼修太が担当。会場の音にも要注目だ。

関連イヴェントとして、8月19日にはクワクボリョウタによるアーティスト・トーク、8月26日には親子向け創作グループhahacolabによるワークショップも予定されている。

どんな空間が展開されるのか、乞うご期待!


Information

ICC キッズ・プログラム 2012
パーフェクトロン(クワクボリョウタ+山口レイコ)
ひかり・くうかん じっけんしつ

http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2012/KidsProgram2012/top_j.html

会期:2012年8月14日(火)—9月2日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] 4階特設会場
開館時間:午前11時—午後6時
休館日:月曜日
入場無料
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
協力:A4A,株式会社TASKO,合同会社フリートランスレーション
後援:渋谷区教育委員会,新宿区教育委員会


関連イヴェント

クワクボリョウタ アーティスト・トーク
日時:2012年8月19日(日)午後7時より
参加対象:高校生以上
参加費:無料

ワークショップ hahacolab「じぶんちずバッグをつくろう! キラリ・夜の地図」
自分のうちの周りを思い出しながら,光る素材でできたモチーフをバッグの上に配置し,自分だけの夜の地図を表現します.
日時:2012年8月26日(日)午後2時—3時30分
参加対象:小学生
定員:15名
参加費:無料

スタッフによるギャラリーツアー
日時:2012年8月15日(水),22日(水),29日(水)
各日とも午後2時—3時
会場:ICC4階特設会場
定員:20名(当日先着順)
参加対象:小学生以上
参加費:無料

作家プロフィール

パーフェクトロン
クワクボリョウタと山口レイコによる生活と実験のためのアート・ユニット.2005年と2006年にGalerie Lucy Mackintosh(ローザンヌ,スイス)で個展「Studies for the Consumption」,「COCOSOCOASOCO」を開催.ICCでは,2006年のオープン・スペースで《onebuttongame》シリーズを出品.

クワクボリョウタ
筑波大学大学院修士課程修了.岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)卒.1998年から主にエレクトロニクスを用いてアナログとデジタル,人間と機械,情報の送り手と受け手など,さまざまな境界線上で生じる関係性をテーマにした作品を発表.代表作に《ビットマン》(明和電機との共作),《ビデオバルブ》,《PLX》,《ニコダマ》などがある.2010年に発表した《10番目の感傷(点・線・面)》は,第14回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞を受賞.2010年,文化庁平成22年度芸術選奨文部科学大臣新人賞(メディア芸術)受賞.

山口レイコ
筑波大学大学院芸術研究科総合造形修了.おもちゃ制作会社勤務を経てフリーとなり,子供向けのアニメーション,イラスト,グッズなどの制作を行なう.2011年からは親子向け創作グループhahacolab(ハハコラボ)のメンバーとしても活動している.