©Ryan McGinley Courtesy of Tomio Koyama Gallery
Taylor(Black & Blue) 2011

清澄の小山登美夫ギャラリーと、渋谷ヒカリエ内の8/ART GALLERY/Tomio Koyama Gallery にて、ライアン・マッギンレーの国内初となる個展が同時開催される。

2000年、弱冠22歳のマッギンレーは、ニューヨーク・ローワーイーストサイドに住むアーティスト、ミュージシャン、スケートボーダーといった友人達の生活を撮影し、大型写真作品として自主企画の展覧会で発表。同時に自費出版した50ページの作品集 “The Kids Are Alright”(タイトルはバンドThe Who のドキュメンタリー映画より)が話題になり、その3年後にはホイットニー美術館で同館史上最年少の作家として個展を開催。

シルヴィア・ウォルフ(元ホイットニー美術館学芸員、現ワシントン大学Henry Art Gallery ディレクター)は、次のようにマッギンレーの作品を評価している。

「前の世代の若者文化を捉えた写真作品と違い、マッギンレーの作品は皮肉や退屈さ、そして不安を欠いている。マッギンレー自身やその被写体の生活は無邪気な明るさを手に入れているようだ。」(“The Kids Are Alright”展 プレスリリースより、ホイットニー美術館、2003年)


マッギンレーの作品は、自身やその世代の日々のリアリティを記録する作品から、入念に仕掛けられ、均衡でありながらも何が起るのか予期できない状況にある被写体の瞬間を捉える作品へと変化していった。2003 年の夏、友人やモデル達とバーモント州の別荘に滞在し撮影を行っていたマッギンリーは、この時「撮影を演出する」可能性を見いだしたと言う。

モデルのありのままの姿を記録する過程で、彼は段々と「被写体が思わず自分を忘れてしまう――例えば裸のモデル達が木の枝に登る、または夜中に水中をさまよう――ような状況」を演出し、陶酔感の中にあるモデル達の瞬間をカメラに収めるようになった。以降マッギンレーは、田園風景、野外コンサート会場、あるいはスタジオの中で、巧妙にそして注意深く光を操りながら舞台を作り、35mm の粒子の粗いフィルムで、まるで映画を撮るかのように自らが作り出した「ハプニング」を撮影している。

今回の展示では、およそ2m×3m の大型作品が展示される。また、小山登美夫ギャラリーでは、2007 年に行われた8人の友人達との大陸横断旅行で撮影された作品が展示され、渋谷ヒカリエでは、生きた動物と裸のモデルをスタジオ内で撮影した、最新シリーズ”Animals”が披露される。

ぜひ、お見逃しなく。

Information

ライアン・マッギンレー 展
Reach Out, I’m Right Here

http://www.tomiokoyamagallery.com/exhibitions/ryan-mcginley-exhibition-2012/
http://www.fashion-press.net/news/gallery/4456/69530


会期:2012年9月1日(土) – 9月29日(土)
会場:小山登美夫ギャラリー東京 7F (東京都江東区清澄1-3-2-7F (丸八倉庫ビル))
時間:12:00−19:00 (火−土曜日)
休廊日 : 日・月曜日、祝日

ライアン・マッギンレー 展
Ryan McGinley「Animals」

http://www.hikarie8.com/artgallery/
会期:2012年8月31日(金)~10月1日(月) ※展覧会期中無休
会場:8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery (東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ 8階)
時間:11:00~20:00


作家プロフィール


ライアン・マッギンレーは1977年、アメリカのニュージャージー州ラムジー生まれ。その作品はグッゲンハイム美術館、サンフランシスコ近代美術館、ヒューストン美術館、スミソニアン博物館・国立肖像画美術館(ワシントン)をはじめ様々な美術館に所蔵されています。これまでにホイットニー美術館、MoMA PS1( ニューヨーク) 、カスティーリャ・イ・レオン現代美術館(レオン、スペイン)、クンスト・ハレ・ウィーンなどで個展を開催。その他ニューヨーク、ロンドンやアムステルダムなどのギャラリーでも個展を開催しています。また、2009 年に30代という若さで、Twin Palms Press 社から代表作をまとめた写真集“You and I”を出版。2012年にはリッツォーリ社から“Ryan McGinley: Whistle for the Wind”が出版され、クリス・クラウス(映画監督)やジョン・ケルシー(美術批評家)による寄稿、ガス・ヴァン・サント(映画監督、写真家、音楽家、作家)とのダイアローグが掲載されています。