チェルノブイリ原発事故から12年後の原発周辺の立入制限区域で生きる人々をとらえたドキュメンタリーが、アテネ・フランセ文化センターにて、12月3日・12月6日ー10日の6日限定で特別上映される。

ウクライナ北部のプリピャチ市街は、チェルノブイリ原子力発電所から約4キロメートルに位置し、1986年の原発事故以来、立入制限区域となり、約50,000人のプリピャチ市民は避難、移住を余儀なくされた。
立入制限区域は有刺鉄線で覆われたフェンスで区切られていて、兵士が区域内に入るすべての人々をチェックする。区域内から食料などを持ち出すことは禁止されている。

しかし、本作撮影時、なお15,000人の人々が、原発(3号炉は2000年まで稼働)や放射能の影響を調べる研究所など、この区域内で交代制で働いていた。また、許可を得て帰還した約700人が区域内で生活していた。彼らはなぜ見えない危険と隣り合わせの人生を選んだのだろうか?

プリピャチの立入制限区域内で生きる人々を、『いのちの食べかた』のニコラウス・ゲイハルター監督が、ナレーションや音楽を排し、モノクロの映像で記録していく。

ゲイハルター監督は、チェルノブイリをテーマとした理由を「いつの時代でもどこの場所でも起こりうることだから」と語った。彼はまた自らの作品を「次の世代のための参考文献のようなもの」と述べている。

12月3日にはニコラウス・ゲイハルター監督のトークも予定している。

今まさに日本が直面する問題とクロスする本作は、誰にとっても無関係ではなく、このタイミングで見る事の意味は大きいように思う。




Information

プリピャチ
http://www.athenee.net/culturalcenter/program/pr/pripyat.html

1999年/オーストリア/100分/HDCAM(オリジナル35ミリ)/モノクロ
原題:PRIPYAT
監督・撮影:ニコラウス・ゲイハルター 
イスタンブール映画祭国際ドキュメンタリー賞、オディヴェーラス映画祭グランプリ、ニヨン映画祭審査員賞・観客賞、ディアゴナーレ・オーストリア映画祭グランプリ、ミュンヘン国際ドキュメンタリー映画祭グランプリ


■上映スケジュール
2011年12月3日(土)・12月6日(火)ー12月10日(土)(6日間)


12月3日(土)
15:30-「プリピャチ」(100分)
※上映後、ニコラウス・ゲイハルター監督のトークあり

12月6日(火)ー12月10日(土)
15:30-/19:00-「プリピャチ」(100分)
※12月9日(金)15:30の回の上映後、桃井和馬氏(フォトジャーナリスト)と渋谷哲也氏(映画研究者)の対談あり

Profile

ニコラウス・ゲイハルター Nikolaus Geyrhalter
1972年オーストリア・ウィーン生まれ。1994年に自身の制作会社「ニコラウス・ゲイハルター・フィルム・プロダクション」を設立。日本でも大きな話題を呼んだ「いのちの食べかた」などのドキュメンタリー作品を監督。また、他の監督作品のプロデュースも手掛ける。