情報科学芸術大学院大学と国際情報科学芸術アカデミー(以下IAMAS)の卒業生修了研究発表会および卒業制作展が今年もソフトピアジャパンにて開催された。今年のIAMASの卒展は例年に比べて作品数が少なかったようだが、例年通り質の高い作品や興味深いプロジェクトも拝見することが出来た。そんなIAMAS 2009の様子をダイジェストでどうぞ。
IAMAS 2009
http://www.iamas.ac.jp/exhibit09/
IAMAS
http://www.iamas.ac.jp/
会場の様子
「Jamming Gear」 by 菅野創
Make: Tokyo Meeting 02のレポートでも取り上げたこの作品、ディバイスは無線化されており、完成度も一段と上がっていた。
「消えないでほしい/However, you will forget it」 by 八尾裕子
「movalsystem」 by 永野哲久
Oval(マーカス・ポップ)が2000年に発表したソフトウェアOvalprocessの再現であるmovalprocessとウェブデータたベースから構成された作品。永野哲久はiPhone Art Project「Audible Realities」のメンバーでもある。
こちらからそのシステムをダウンロードもできる→http://sndgems.org/
「発見の図書館」 by 影近政通
V字型本棚をピラミッド状に配置することにより、分類による検索の為だけではない思考とイメージの新しい発見がある図書空間の提案。「無機植物相」 by 村山誠
ボタニカルアートといわれる植物学的な正確性と芸術的な表現性の融合された植物画をテーマを科学的視線と芸術的視線を押し進めた細密な表現。
「inClip」 by 鹿島田知也
クリップ型のディバイスで挟んだモノの色をセンサーで読み取り、その色に固有の情報をインプットできるうツールの提案。 デバイスの完成度も高く、直感的にわかる展示であった。情報のトリガーをコンピューター外部の環境に設置するという試みはデータの大容量化、分散化が一層進む現代においては増えてくるだろう。
「発芽」 by 澤野知佳
机の上に埋め込まれた植物の種を指で暖めるとモニタに映る植物が成長していく。
「u鍵とm錠」 by 佐竹裕行
リアルタイムにモニタに映された体験者の顔にモザイクがかかり、数秒待つと固有のQRコード(に似た図形)を生成する。その図形はモザイクに対する"鍵"となる。
「Urban Cornerstone」 by シミョン・レイモンド
「Shoot'em up」 by ジュリアン・ジャッソ
テキスト(文字)を用いたシューティングゲームを制作したジュリアン・ジャッソ。それに伴って作られたと思われる元素の仕組みを解説する絵本が秀逸。
「Lunch」 by 伊藤悠太
Flickrの"Lunch"とタグ付けしてある写真を用いて、モザイク画のようなポートレイトを描く絵画作品。
「A New Musical World」 by クレメンス・ビュトナー
西洋音楽が日本に輸入された時に聞こえたであろう音場を音響技術を用いて再現する試み。
「ゼロプラスプロジェクト」 by 小栗諒 + 菅沼聖
「まちと遊ぶ」をキーワードに様々な"遊び"を提案し、実行していくプロジェクト。未だ実行に移していないプロジェクトのアイデアスケッチもアーカイブ展示。オリジナルなアイデアだけでなく、Laser Tagなどのオープンソースで公開されているツールもパッケージ化して実際に街で実行に移しているという、意欲的なプロジェクト。
番外編:IAMASツアー
「inClip」の作者である鹿島田さんにIAMASの校舎を案内していただいた。
まさに「ラボ」という感じの雰囲気で、制作に没頭するには素晴らしい環境のように感じられた。