今年のメディア芸術祭は例年までの見本市的な会場構成とは一変し、セクションや作品ごとに多くの壁で空間をしっかりと仕切り、作品を一つ一つの大事に見せようという意思が伝わるような、気持ちのよい会場構成が印象的であった。
2月4日から15日までの総来場者数は、昨年より1万人増の約5万5千人。週末には入場規制がかかるほどの盛況ぶりをみせた。マンガやアニメ、ゲームなどエンターテイメント性の強い作品をアート作品と並列して見せるところが、日本特有のメディア芸術展として認知されるようになった。
そんな今年のメディア芸術祭の会場の様子と、展示作品数点を写真で振り返る。
第12回文化庁メディア芸術祭
http://plaza.bunka.go.jp/festival/2008/
文化庁メディア芸術プラザ
http://plaza.bunka.go.jp/
「Touch the Invisibles」 渡邉淳司 / 草地映介 / 安藤英由樹
爪の上にディバイスを取り付けモニタ上の小人をなぞると指先にリアルな感触が伝わる。
「touched echo」 Markus KISON
手すりに肘をつけ耳に手をあてると、眼前に広がる風景の過去の記憶である爆撃音が聞こえてくる。
「Oups!」 Marcio AMBROSIO
今年のアート部門大賞作品。スクリーンの前に立つと鑑賞者である自身の姿が映しだされ、アニメーションが動的に生成される。
「Standard Time」 Mark FORMANEX
24時間木材を組み替えることでデジタル時計を表現している、驚異的パフォーマンス作品(記録映像)
「I love NY」 Junk
タイプトレース道〜舞城王太郎之巻 遠藤拓己/ドミニク チェン/舞城王太郎
古めかしいタイプライターがスクリーンの文字に合わせてカチカチと音を立てて動く
マンガ部門展示風景
「TENORI-ON」 岩井俊雄
エンターテイメント部門大賞を受賞。。第1回目のAPMTにてTENORI-ONをプレゼンテーションしてもらったのはもう4年前だけにこのプロジェクトの完成度を改めて感じた。
「Gyorol」 制作:Bascule
http://gyorol.bascule.co.jp/
携帯電話とWebをリアルタイムに連動させ、あたらしコミュニケーションのカタチを提案するコンテンツ。携帯電話でスクリーン上の魚を釣り名前をつけ、鑑賞出来る。多くの人が体験していた。
「LevelHead」 Julian OLIVER
ARToolkitのマーカーを埋め込んだ立方体がインターフェイスの"拡張現実型空間記憶ゲーム"
「カミロボ」 安居智博
「全的に歪な行且 -第二-」 多田ひと美
第14回学生CGコンテスト、インタラクティブ部門最優秀賞作品。インターネット上のニュースをソフトが読み上げていき、単語に関連したイメージがweb上から検索され映し出される。
「Open Reel Ensemble」 和田永 / 佐藤公俊 / 朝倉卓也 / 山下連 / 岡野沙有
オープンリールをUSBで制御し、声や楽器の音をリアルタイムに録音、再生するパフォーマンス作品。会場では一際注目を集めていた。
「風の音楽 ephemeral melody」 鈴木莉紗 / 鈴木太朗 / 飯田誠 / 荒川忠一
シャボン玉と風が奏でる偶然の音楽を楽しむという作品。シャボン玉が、二本づつ伸びている金属パイプの接点となる。