英国王立芸術大学院、Royal College of Art。通称「RCA」は言わずとしれた世界の美術大学の最高峰であり、世界で唯一の美術大学院大学。その中でも、現在特に注目を集めているプロダクトデザイン科の第11研究室に在籍する12名の学生が展覧会を行うため来日、「CRASHLAND(強行着陸)」と題した展覧会をTRICO CANAL SIDE GALLERYにて開催された。
一般的にプロダクトデザインといえば電化製品や工業製品、あらゆるモノの外側、フォルムのデザインを想像するものだ。しかしRCAのプロダクトデザイン科に在籍する学生たちによるプロダクトデザインは、必ずしもフォルムだけをデザインするのではなく、中身のプログラムや動きのメカニズム、インタラクションにいたるまで、プロダクトデザインを広義にとらえデザインしているようだ。なので彼らの作品は見るだけのただのモックアップではなく、実際に体験する作品やビデオアーカイブのものまで幅広い内容であった。
「技術的、心理的、社会政治的なトレンドに関する、近代的かつ思索的な問題点を提起するための媒体として、デザインを活用することをモットーにする」という同科のスローガンが、高い完成度と美的感覚、さらに皮肉めいたユーモアを合わせ持った作品から見て伺えた。
CRASHLAND>強行着陸
http://crashland.info/
CBCNET - CRASHLAND>強行着陸
http://www.cbc-net.com/article/2008/03/rcacrashland.php
Text by Takahiro Yamaguchi
Photo by CBCNET
「In Your Hands」by Dash Macdonald
「In Your Hands」by Dash Macdonald
リモコンによって操作されるローラスケートを作者が履き、題名の通りコントローラを鑑賞者に託す。それによって人々の道徳心の限界を試すというパフォーマンス作品。実際のパフォーマンスは見れず。
「Untitled」by Tony Mullin
「砂のお城」ではなく「砂のビル」を作る為のバケツ
「The Fastest Clock in the World」by Freddie Yauner
上の写真では、いやむしろ実物を肉眼で見ても下5桁は動いてるようには見えないが...
「The Fastest Clock in the World」by Freddie Yauner
左上のボタンを押すと、実は下5桁も高速で動いているということがわかる、世界一精密に時を刻む時計。
「Mechanism No.10」by Tom Foulsham
「Mechanism No.10」by Tom Foulsham
手前の鉛筆を鉄板に接触させて文字や絵を描くと、鉛筆と鉄板が触れている間シャッターが切られる。光を使って写真の中に文字や絵が描ける装置。これはプロジェクトのシリーズ作品の一つで、ネットワーク越しに制御できるバージョンもあるらしい。
「The Analogue Website」by Mattew Plummer-Fernandez
題名の通り、超アナログなウェブサイト。PCに写っているウェブサイトはレールに乗るカメラが映し出す映像。サイトの各メニューをクリックすればウェブカメラがその場所まで線路の上を移動する。
「David Pumpe by ion pumper」by Lucia Massari
ボディービルダーが石膏像の画集に直接「理想の肉付き」を書き込んでいく様子と、ポージングするボディービルダーやインタビューをおさめたビデオ作品。ギャラリーのウィンドウに直接描かれたユニークなボディビルダーたちのイラストも彼女によるもの。
「Hermes」by Benjamin Males
入力された映像をリアルタイムで解析し人種(肌の色)を識別する完全自動制御によるカメラ。残念ながらシステムの不具合により動いているところは見れず。