DesignTideで作品の展示も行った、インタラクティブ作品を制作するアーティストChris O'Sheaへのインタビュー。ウェブデザイナーを経て、現在では企業とのコラボレーションなどで魅力的なインタラクション作品を多数制作してる。
Muon - with Moving Brands
CBCNET:あなたの事を知らない人のために、簡単な自己紹介をお願いします。
Chris:およそ7年前、私は、FlashコンテンツとWebサイトの制作会社を経営していました。
でも僕には合わなくて、この仕事にちょっと疲れてしまった。僕はモニターとマウスから外に出た作品を作りたかったんだ。 そしていわゆるドットコム時代が終わったとき、会社の経営は厳しくなった。その時にMediaLab Artsと呼ばれるイギリス南西部の大学へ入学したんだ。大学の内容は、コンピューターサイエンティストとアーティスト、デザイナーなどが高速で衝突するような学部だった。
それでちょうど2年前に大学を卒業して、すぐにロンドンへ移り住んだんだ。 その後は、デザインスタジオからの発注でインスタレーションを制作するフリーランスのデザイナー・開発者としてに働き始めた。 そのときに制作したのはAllofUsのためのTate BritainとOnedotzeroでの展示、Moving Brandsの「Muon」の発表展示、 Ico DesignにあるWellcome Collection Gallery のために2つ作品なんだ。
現在は僕自身の作品の制作する活動をしていて、最近では、ロンドンデザイン・ミュ
ージアムに展示するため「Out of Bounds」を制作して、それを10月のDesignTideでも展示したんだよ。
Out of Bounds
CBCNET:お気に入りのプロジェクトについて何か簡単に教えてくれますか。
またウェブサイト"Pixelsumo"に関しても。
Chris:ここ2年の間で他の制作会社と作ったものはいずれも気に入っているよ。
Milanでの「Muon」スピーカのロンチのため、僕はMovingBrandsでProcessingのプログラミングをやっていたんだ。巨大なLEDの床に、流体の油のように音楽に反応する装置を作ったんだ。とても大きなスケールで、素晴らしい会場だったので楽しかった。このときはKarsten Schmidtなど非常に才能のある人たちと働けたのもよかった。
最近では、Ico Designで開催されたWellcome Collection展で2つのギャラリー展示のテクニカルリーダー勤めたんだ。
1つは、ギャラリーを訪れた人の顔の写真を撮影して、リアルタイムで、それの顔を平均化したもの(その人の前に来場した人全ての平均が見れる)を作成した。もうひとつの展示では、指紋や、虹彩などのような、個人のバイオメトリックなデータに基づいてロゴのアイデンティティを作成する装置を作ったんだ。

CBCNET:あなたは、これまでの多くの作品で、面白く美しいインタラクションとインタフェースを制作されています。それらを通じて何かテーマやコンセプトはありますか? また、あなたにとっての挑戦は何ですか?
Chris:もちろんチャレンジはそのプロジェクトで変わっていく。たとえばWellcome Collectionのときは作品が常設として展示されることになっていた。なので何年も壊れないような設計をしなければならなかった。
いくつもの違ったセンサーと向き合ったり、それらのセンサーをマウントする作業、またどういった機器を使用するべきかも判断しなくてはいけなかったんだ。
大きなテーマとしては、その作品が物理的に存在する、ということ。あなたがその会場に行かなくては体験できないんだ、家から体験するというものではなくてね。それは僕には大事なことなんだよ。
Wellcome Collection - Average Face
CBCNET:現在はどんなことに興味を持っていますか?
Chris:僕は「遊ぶ」ということにとても魅了されている。 大人になると、どんどん遊ぶという行為から離れていってしまっている、僕らには日常や仕事がその隙間に入ってしまうからね。だから、「遊ぶ」ということが僕らの人生を豊かにできるかということに興味を持っているんだ。インタラクションデザイン、おもちゃ、テレビゲーム、公園、などにある遊びにまつわるコンセプトを、人々の日常的な場所やモノに落とし込めないかと思ってるんだ。
CBCNET:ところで、「This Happened」というイベントが非常に面白いと思ったのですが、そのイベントのアイデアはどのようにして生まれたのですか?
Chris:「This Happened」はインタラクション・デザインの背景に焦点を当てているイベントシリーズなんだ。
僕ともう二人、United Visual ArtistsのJoelとNanika/Hi-ResのAndreas Muller、と一緒に同じような興味を持っている人たちが集まれる場所があったらいいねと感じていたんだ。
イベントの決まりとしては、ひとつのプロジェクトで通った過程を10分で話す、その後は質疑応答という形になるんだ。今のところイベントは成功していて、このシステムも評判がいいんだよ。
最初にやったのは40人ぐらいの小さなところで、2回目は150人ぐらい。いずれも素晴らしいスピーカーが出てくれて、チケットもすぐに完売だった。いつかは色んな国でもやってみたいね。

Chris:最高だったよ。ああいうパブリックなスペースにインスタレーションを展示できるのは素晴らしいし、こういったデザイン・フェスティバルでもっとインタラクション作品が展示されることを願っているよ。もちろん東京も素晴らしく、多くの場所に行くことができて興味深かかった。ここに写真もアップしてあるよ。

http://chrisoshea.org/
ロンドン在住のインタラクティブアーティスト・デザイナー。公共の場や企業と合同でインタラクティブ作品を制作している。空間や物体に対する創造性を追求した作品・インスタレーションを多数制作している。またウェブサイト「Pixelsumo」やイベント「This happened」などのプロジェクトも行っている。