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Papervision3D - Ralph Hauwert
Adobe MAX Japan 2007直前インタビュー

October 16, 2007 10:12 PM

fitc_max_ralph_top.gif11月1日2日に開催が迫った「Adobe MAX Japan 2007」。FlashフェスティバルFITCのスペシャルセッションとして来日するスピーカーへのインタビュー。最初はPapervision3DのプロジェクトメンバーであるRalph Hauwertに話を聞いてみました。



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http://www.papervision3d.org

昨年末、Papervision3Dが登場したことによってウェブ上の表現に「3D」という可能性が大きく開けた。2007年に入り、多くのサイトで実験的な作品が生まれ、日本ではコマーシャルサイトでも多く見られるようになってきた。描画性能が格段に向上しているFLASHへの期待感が高まる中、Adobe MAX Japan 2007が11月1日、2日と開催される。今回来日するPapervison3Dのコアメンバーの一人であるRalph Hauwertにセッションに向けての話を聞いた。




CBCNET:では、まず最初に簡単にRalphのことを教えてください。

Ralph:名前はRalph Hauwert、27歳。Flashプラットフォームのデベロッパー及びコンサルタントをやってます。オランダ出身で、UnitZeroOneという自分の会社をやっているんだ。今はデンマークとオランダで主に仕事をしていて、FlexやFlashの実装をする傍らPapervistion3Dなどのプロジェクトに取り組んでいる。この分野で働き始めて8年ぐらい経つけど楽しくやっているよ。


Papervision3Dに関してなんだけど、僕は主にパフォーマンスとレンダリングのクオリティに関して担当していて、今は近日公開を予定しているバージョン2.0のエンジンを作っているところなんだ。このリリースではより高いパフォーマンス、レンダリング、高速なインタラクティブ、アニメーションなどが可能になる予定だよ。


CBCNET:Papervistion3Dは最近の大きな驚きのひとつでした。簡単にその概要と制作するにあたってチャレンジングだった点について聞かせてください。

Ralph:Papervision3Dのアイディアとしてはいくつかあるんだ、まずは、そして最重要なことだけど、ウェブにアクセス可能な3Dを持ってくるというものなんだ。基本的な3Dエンジンとしてアプリケーションなどにも使用できるし、コマーシャルウェブサイトでも使えるものだということ。 Flash Playerがほとんどのコンピュータにインストールされているし、このエンジンがユビキタスな 3Dの世界をウェブにもたらしてくれる。


次に、デベロッパーに対して簡単に使えるということが重要だった。使おうと思えて、実装するのをなるべく心地よいものにすること。この点において僕らはFlashAPIにも使用されているAPIを取り入れて、なるべくPapervision3Dを使うためのハードルを下げることができた。


チャレンジについてだけど、まず頭に入れておかないといけないのは、Flashは当初3Dをデザインするために作られているものじゃない。そして、Papervision3Dは自ら3D演算やドローイングのテクノロジーを書く必要を取り省いた。僕らのチャレンジとしてはそのエンジンを普段Flashを使うように違和感なく使えるようにすることだった。エンジンのパフォーマンス向上も僕らの中では重要な項目で、あらゆる手段を使ってそれを実現しようとしてるんだ。


ここまでのところそういった点はうまくいっている。このエンジンは多くのFlashのユーザーコミュニティーから使用感やスピードにおいて高評価を得ているんだ。そして、このエンジンを実装したサイトがアワードを受賞するようなサイトだったことも珍しくないんだ。まだまだ3Dをウェブで使うというのは目新しいものだけど、Papervision3Dによって多くの、そして幅広いサイトにおいて使われるようになってきたと思うよ。

ActionScript 3はこうした高速なエンジンを作るために後押しをしてくれる。新しいActionScript Virtual Machine (AVM)のスピードは3D処理にとっては素晴らしいものだし、FlashPlayerの領域を格段に広げてくれるものだと思うよ。


CBCNET:Flashや多くのウェブテクノロジーは近年凄まじいスピードで進化しています。
こうした進化をどう捉えていますか、またどういった将来を見ていますか。

Ralph:僕にとってはFlash8のときに色んな楽しさが戻ってきたんだ。BitmapDataエンジンの実装などは僕らFlashDevelopersにとってよりエキサイティングなウェブ体験を作れるものになったからね。


最近の技術の発達は素晴らしいよ。前にも言ったようにActionScript 3は大きな役割を果たしていると思う。将来的なところでいうと、Adobeが次期Flashについて公開していることからすると、たとえばAIF/Hydra や3Dのサポートは素晴らしい機能追加だと思うし、僕らはより優れたPapervision3Dを制作することができるようになってきた。より高速になるのはもちろん、新たな機能を持たせることも可能になってくるんだ。


CBCNET:ところでPapervision3DのロゴはBUILDのMichael Placeによるものですよね?
どういった経緯で彼にお願いすることになったのですか?

fitc_max_ralph_logo.gifpapervision3D Logo
Ralph:そう、ロゴはMichael Placeによるものだよ。彼はPapervision3Dの創設者であるCarlos Ulloaの友人なんだ。実はPapervision3Dが世の中に知られるようになってからもまだ古いロゴを使っていたんだ。古いロゴは映画のクレジットとかに良く出てくる"Filmed in Panavision"のパロディー的なものだったんだ。もちろんその権利はPanavisionが持っていて、Papervision3Dが有名になるにつれ問題になりそうだったから、訴えられるのは避けたかったので変える必要が出てきたんだよね(笑)。

マイケルは素晴らしいロゴを仕上げてくれたと思っているよ。このロゴは僕らがPapervision3Dのエンジンに対して感じている気持ちを表している。シンプルでありつつ、エレガンスと美しさがあり、それは僕らが達成したいと思っているイメージに近いんだ。
また、僕個人的にIDMミュージック(テクノの細分類の一つにあたる)の大ファンで、特にロンドンベースのレーベルWARPは大好きだった。マイケルはこのレーベルのジャケットを多く手がけているから僕らのロゴも作ってくれたときはとても嬉しかったよ。


CBCNET:さて、11月のAdobeMAX Japanではどういったお話をされる予定ですか?
また日本の人たちに何かメッセージを!

Ralph:MAXではPapervision3Dの話を中心に話す予定で、背景やコンセプト部分などを含めてこのエンジンで出来ることを色々示せればと思っている。セッションはデベロッパーやデザイナーの両方に向けてあるものだし、最終的には双方がPapervison3Dを利用して何か作ろうと思えるものになればいいね。既にたくさんのPapervision3Dを利用した作品が日本から出てきてるけど、もっと見てみたいし、このエンジンの魅力がより多くの人に伝わればいいね!

また、シェイディングやライティングなどのエンジンの新しい機能やデベロップメントも紹介する予定で、
ウェブ上の3Dで表現できる可能性が広がるような内容にするつもりだよ。

またそのほかにもEarthmine3D Street-Level Viewerも見せる予定だよ。これはDEMOカンファレンスで紹介されたものだけど、始めてアメリカ以外の国での紹介になるんだよ。

東京に行くのはとても楽しみだし、Papervision3Dに興味を持ってる人たちとぜひたくさん会えればと思ってる。ではAdobe Maxで!

Thank You Ralph!!




Text&Translation by Yosuke Kurita (CBCNET)



Adobe MAX JapanでのRalph Hauwertによるセッションの詳細は以下より。まだセッションに空きはあるようなので、気になった人はぜひチェックしてください。

http://www.adobemax2007.jp/session/special-s.html

次回はFITCのShawn Pucknell、PresstubeのJames Patersonのインタビューを公開予定です。

fitc_max_ralph.jpgRalph Hauwert

オランダとデンマークを拠点に活躍する Flash/Flex エキスパート。Papervision3D のコアメンバーの一人。Papervision 3D の表現上のマテリアル、ライティング、パフォーマンス、そしてユーザビリティをメインに担当。7年間の Flash Platform のコーディング経験と多くのイベントの講演者としての活躍実績もある。

http://blog.papervision3d.org
Weblog: http://www.unitzeroone.com

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