BNN新社より書籍「バイオアート―バイオテクノロジーは未来を救うのか。」が刊行された。
本書では、バイオアーティスト50名の活動を紹介している。生物自体をメディアとした表現、人間の身体に宿る無数の微生物群「マイクロバイオーム」に注目した作品、未来の可能性を思索する「スペキュラティヴ・デザイン」など、さまざまな作品手法とともに、バイオアートの役割、そしてバイオテクノロジーによってもらたされる未来について考えていく。
日本語版序文として、久保田晃弘氏(多摩美術大学教授)による「反転の美学―ポストゲノム時代のバイオアート」、日本語版特別寄稿として、第19回文化庁メディア芸術祭のアート部門で優秀賞を受賞した長谷川 愛氏による「スペキュラティヴ・デザインとバイオアート」も掲載されている。
豊富な事例と作家紹介のテキストも詳細に書かれているので、興味のある方は是非。
生命科学の発展は
人間も環世界も根源的に「作り変え可能」〈ハッカブル〉であることを示している。
生命の作り変え〈ハック〉が情報技術と共に経済合理性に隷従すれば、
現代社会のあらゆる領域は統計的な最適化と優生学が組み合わさった、
自然淘汰ならぬ「人工淘汰」の思考に規定されかねない。
バイオアートは、
未だ見ぬ人間とその物語から現在の私たちの向かう道筋を逆照射することで、
現代の技術決定論に抗うことのできる実践的な哲学、そしてデザインの方法論だ。
それは現代において数少ない希望の源泉でもある。
― ドミニク・チェン
Information
バイオアートバイオテクノロジーは未来を救うのか。
http://www.bnn.co.jp/books/8108/
ISBN:978-4-8025-1019-6
定価:本体 3,400円+税
仕様:A5判/416ページ
発売日:2016年05月24日
著者:ウィリアム・マイヤーズ
監修:久保田晃弘
翻訳:岩井木綿子、上原昌子
寄稿:長谷川 愛
デザイン:waonica
目次
[日本語版序文]
反転の美学―ポストゲノム時代のバイオアート
― 久保田晃弘
[日本語版特別寄稿]
スペキュラティヴ・デザインとバイオアート
― 長谷川 愛
Chapter 1 自然の自然な改変
Chapter 2 生命の再定義
Chapter 3 尺度と領域の可視化
Chapter 4 自己認識とメディアの実験