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TAKCOM、大橋史、TYMOTEらが3DプロジェクションマッピングでGALAXYの世界を表現 『WHITE IMAGINATION展 Inspired by GALAXY』

October 31, 2013(Thu)|

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大橋史

「TOKYO DESIGNERS WEEK」にて、サムスン電子ジャパンの「GALAXY J」と「GALAXY Note 3」の世界を3Dプロジェクションマッピングで表現した「WHITE IMAGINATION 展 inspired by GALAXY」が開催されている。

参加作家はTAKCOM、名和晃平、奥下和彦、大橋史、TYMOTEなど、CBCNET 読者にお馴染みの面々ばかり。この展示では、総勢10組のアーティストによる “さわれる3Dプロジェクションマッピング” が楽しめるという。さっそく青山の会場へ足を運んでみた。

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参加クリエイター:左から加藤隆、奥下和彦、水尻自子、ルシュカ、大橋史、大八木翼(SIX)、TAKCOM、矢後直規(博報堂)

会場を訪れると「GALAXY」をかたどったホワイトモックが手渡された。今回の展示は、このホワイトモックを手のオブジェにセットすると、ホワイトモックを土台にした3Dプロジェクションマッピングが楽しめるという仕掛けになっている。
最初に見たTAKCOMの作品は、白い背景から次々とオブジェクトが浮かび上がってくるという、実に臨場感のある映像。画面から本当に映像が飛び出してくるように見え、最初から度肝を抜かれた。会場に居たTAKCOM に、今回の作品について聞いてみた。

TAKCOM 「画面を現実と非現実世界の境目に見立てました。冒頭は、非現実の世界から何かが浮かび上がってくる、というイメージですね。全体的に光と影を意識して表現しています」

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TAKCOM

赤い線によるシンプルな表現が印象的だったのはアートディレクター・映像作家、奥下和彦の作品。GALAXY に閉じ込められてしまった男が脱出を試みているという映像だ。今回、なぜあえてシンプルな表現にこだわったのだろうか?

奥下「プロジェクションマッピングらしい表現から外れて、アナログでコミカルな、チャップリンのサイレント映画のような雰囲気の作品にしたかったんです。アニメーションは自分を撮影し、そこから線を起こして作りました」

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奥下和彦

彫刻家の名和晃平は、無重力空間に浮かぶ液体のようなオブジェクトを表現。「PixCell = Pixel(画素) + Cell(細胞・器)」という概念を機軸に、多様な表現を展開する名和ならではの映像表現だ。

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名和晃平

映像作家の水尻自子は、GALAXY のホームボタンを寿司のシャリに見立てていた。待受画面にひらひらと寿司ネタが舞い降り、シャリ(ホームボタン)に着地。そしてラストは、宇宙空間に寿司の形の星座「寿司座」が浮かぶという、何ともユニークな映像だ。一体なぜ寿司から宇宙に飛躍したのだろうか?

水尻「ホームボタンがシャリの形に似ていたので、これは寿司でいくしかない、と思いました。最後は、米粒がはじけとんで宇宙の星になるんです。作りながら『あ、GALAXY (星雲、銀河)とつながった』と思いました。あまり皆さんに気づいてもらえないんですけどね(笑)」

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水尻自子

見どころはプロジェクションマッピングだけではない。ホワイトモックには ICチップが内蔵されており、会場内にある「THANK YOU BOOTH」にセットすると、タッチパネル上に過去に見た映像が現れる。
さらに好きな画像を選択してQRコード又はURLを取得し、壁紙画像をダウンロードできるようになっているのだ。お土産として、ホワイトモックに貼れる各作家のシールが持ち帰れるというのも嬉しい。

今回の制作には、都市模型への3Dプロジェクションマッピング「TOKYO CITY SYMPHONY」を手がけた P.I.C.S.(3Dプロジェクションマッピング担当)、aircord(プロジェクション/システム構築担当)らが参加している。彼らの最新の仕事にも注目したい。

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THANK YOU BOOTH(手前)

クリエイティブディレクター 大八木翼に聞く
手のひらで起こるプロジェクションマッピングとは?


今回の展示のアイデアは、どのような経緯から生まれてきたのだろうか?
クリエイティブディレクターの大八木翼(SIX)に聞いてみた。

大八木:今回は、スマートフォンという四角い箱が秘めている色々な可能性を、お客さんにまったく新しい形で体験してもらいたかったんです。僕個人としては、今年行った「TOKYO CITY SYMPHONY」という3Dプロジェクションマッピングのプロジェクトでの体験をふまえて、次にやるならもう少し身体に語りかける体験をつくりたい、という思いがありました。それで今回の展示ではお客さん一人一人にプロジェクションマッピングを見てもらい、その記憶を持ち帰って頂く、というところまでをトータルにディレクションしました。

– 参加作家はどのようにセレクトされたのですか?

大八木:シンプルにいうと、僕がどんなものを作ってくれるか楽しみな人たちです。作家には、「広告ではなく作家として表現してくれ」とオーダーしました。
通常は広告的な表現に落とし込むんですけど、今回は僕達が作った流れに作家のクリエイティビティをのせていくことで、もっと伸びる可能性を探ってみたかったんです。結果として、作家にコミッションワークを頼んでいるみたいで面白かったですよ。
正直、インタラクティブって広告的な表現をしてもあまり好かれないんです。シェアされないので。だから僕は、お客さんにGALAXY のことが印象に残る体験をしてもらう、というところまでいければ成功だと思っています。

– 今回の作品の中で、大八木さん自身も驚かされた作品はありましたか?

大八木:水尻さんの作品は「やられたな」と思いました(笑)。TAKCOM の作品も上手かったですね。スマートフォンってハリウッド映画でも何でも見れちゃうし、解像度が高いから単なる映像を流してもつまらないんですよ。今回はそのベースを壊すために、待受画面から映像をはじめてもらうというお題を設けました。ベースを壊すところから展開して、初めて面白くなるので。ありふれた広告やプロジェクションマッピングではつまらないと思うので、これからも新しいことに挑戦していきたいですね。




今回ご紹介した作品のほかにも、モノトーンの世界が美しいTYMOTEの映像や、ルシュカの音楽とシンクロした大橋史の映像など、魅力的な作品が多数揃っていた。ここでしか体験できない展示となっているので、この機会にぜひ会場で体験してみて欲しい。

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また、今年の「TOKYO DESIGNERS WEEK」は従来のデザイン展示会からクリエイティブ・フェスへと進化し、コンテンツの数も過去最多となっている。
全天周型の映像が楽しめる TDW-DOME や MIT Media Lab、THE CONTAINER (コンテナ展)などと、見どころが一杯だ。
会期は11月4日(月・祝)まで。新しいクリエイティビティを探しに、出かけてみてはいかがだろうか。

Article by Yuu Miyakoshi, Akiko Saito

Information

ABLE&PARTNERS TOKYO DESIGNERS WEEK 2013
http://www.tdwa.com/
日時 : 2013年10 月 26 日(土)~ 11 月 4 日(月・祝) (10 日間) 11:00−21:00
場所 : 〒160-0013 東京都新宿区霞ヶ丘町 2-3 明治神宮外苑絵画館前
動員数 : 12 万人(予定)(2012 年実績 101,790 人)
料金 :当日チケット 大人2500円 ナイト割1500円 大学・専門生1500円 高校生1000円 中学生500円
※他に親割・団体割などがあります。詳細は HP をご覧ください。




~GALAXYがあなたの想像力を刺激する~
手元で触れる3Dプロジェクションマッピング展
「WHITE IMAGINATION展 inspired by GALAXY」

http://www.samsung.com/jp/news/productnews/2013/-white-imagination-inspired-by-galaxy

場所:
TOKYO DESIGNERS WEEK 2013 (DESIGN NEXT TENT 展内)

参加作家:
TAKCOM
橋本大祐
加藤隆
水尻自子
大橋史
YKBX
出村拓也
TYMOTE
奥下和彦
名和晃平


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