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FITC Tokyo 2013 開催直前特集!その2: 清水幹太とSaqooshaが語るFITCの魅力

January 18, 2013(Fri)|

デジタルクリエイターに大いなる刺激を与えるインターナショナルなクリエイティビティのカンファレンス「FITC Tokyo 2013」の魅力を伝える全3回の完全ガイド。第2回は、FITC Tokyo 2013に登壇する清水幹太(PARTY)と、カナダで行われたFITCにも参加し現地で大人気となったクリエイターSaqoosha(AID-DCC/Katamari)にFITCの魅力を聞いた。

カナダ発のFITC


左から FITC Awardの壇上にて。左から宗佳広(ココノヱ)、山田純也(ココノヱ)、長井健一(1→10design)、Saqoosha、清水幹太


——–お二人は2011年にカナダのトロントで行われた「FITC Toronto 2011」に参加してプレゼンテーションを行いましたよね。(※”The COOL SHIT HOUR – JapanEdition” と銘打ち、FITC Award のファイナリストである宗佳広(ココノヱ)、長井健一(1→10design)、Saqoosha、清水ら日本勢が講演した)。


「FITC Toronto 2011」会場
清水:「映し鏡」(SOURミュージックビデオ)の話をしました。全体をどうやって動かしたのか、マルチウインドウの 素材の部分を、撮影を含めてどのような形でやったのか?というところ。私のようにプロトタイプから最終的なプログラムまで関与するテクニカルな人間が、コンテを書く段階からプロジェクトに入ると何が起こるか?というところ。この作品は私と川村真司でコンテを書いたんですが、描いたコンテがそのまま映像になるんですね。普通だとプログラマに「これはプログラムでは実現出来ません」と突っ返されたりしてしまうのが、こういうチームでやると、思い描いた通りのものができる。最終的に落としこむ人間が考えて作ったからなんだ、ということを話したんです。もうドヤ顔で。

Saqoosha:プレゼンテーションが英語だったから大変でしたね。

清水:私はその時海外でしゃべるのが初めてだったんです。一ついいアイデアをもらったのは、ココノエの宗さんが、iPadにキーワードを入れたカンペを見ながらしゃべっていたこと。そこにアドリブをちょっと混ぜると、結構どうにかなるんですよ。こうやりゃいいのか!と思って。その後クライアントに英語でプレゼンする時など、そのメソッドを使っています。

——–参加されていかがでしたか?

Saqoosha:反応は良かったです。日頃ネットでよく見る神様のような人たちがたくさん居ましたよ。そもそも2009年にFITCトロントに行った時にザック(ザッカリー・リーバーマン)に「君のアイデアを見て、コレ(マルコ・テンペストのARマジックで、画面からどんどん下がって穴が空いていくコンテンツ)を作ったよ」と言われたのが一番うれしかったですね。

清水:神々いますよね。もうちょっと補足すると、FITCはとてもノンバーバルな場所でした。いわゆるカンファレンスというものは、英語がわからないと理解できないし、「これからはソーシャルなんとかが来る!イエーイ」みたいなキャッチフレーズで盛り上がるというのが主流だったりするんですけど、FITCは手を動かすプロセスだったり、「こんなのできちゃったぜ!」というものをプレゼンするのが主流なんです。しかもそれを神々がしゃべるわけです。つくり手ならビジュアル的に理解できるから、ノンバーバルですよね。

Saqoosha:言葉がわからなくてもなんとかなるんです。

清水:「なるほどなるほど、わかるわかる」って。それはすごくステキで、強いて言えば「開発者魂」というバーバルがあると言えます。


「FITC Toronto 2011」では、普通にホットドックを食べて
いたら隣にAndre Michelleがいたので、ホットドックを食べ
ながら土下座しました。(清水)
※写真はFITCのファウンダー、ショーンに土下座しているところ
——–お二人はカンファレンスに呼ばれることも多いですけど、出席されるのはお好きなんですか?

Saqoosha:まあ好きですけどね。

清水:私は家にいるのが好きなので基本土日のイベントなどは行かないんですけど、FITCとかSXSWは、行けたら行きたい。机上の空論じゃなくて出来たものとか今作ってるものについてしゃべるので、実質的で本質的だったりしますよね。ためになりますね。私はdotFesが大好きで、これも近いところがある。魂で聞ける感じがやっぱりありますからね。広告系カンファレンスとかの、キーワードを設定して聴衆を啓蒙していくような、そういうものだと、どうにも聞いていてピンと来ないことが多い。けど、FITCみたいなものは、ちゃんと出力が集まっていて、ある種バチバチしている、緊張感のある場ですね。

Saqoosha:お客さんも、同じ種類の人が来ていますからね。

清水:Saqooshaさんは、そこの王様になってる気がしますけど。私はディレクタとプログラマを兼任しているので、いつも二つの違うモチベーションが存在しています。まず一つは、”自分で考えたくだらないことが実現してどれだけ世の中に作用するのか?”という、いわゆるクリエイターっぽいモチベーション。もうひとつは、ずっとコードだけを書いていたいということ。もう、企画書も打ち合わせもしなくてそれだけに集中したい。プラモデルとかレゴでいうと、作るプロセスの方が好きだというのがあって。例えばコードを書いて、その構文で10万個のパーティクルが動いた!という刹那的な瞬間が麻薬的に好きなんです。

Saqoosha:僕は完全にそっち側。成果物に興味ない(笑)。

清水:Saqooshaさんはそこにこだわってますよね。開発者にしかわからないエロさというか、興奮ポイントがあるんです。細胞がプチプチする感じがありませんか。

Saqoosha:興奮はするかわかりませんけど(笑)、プロセスということだと、新しい物を作ってる時が一番楽しいですね。最初の8割くらいまでガーっと作る時が一番楽しくて、あとの2割は詰めの段階だから、プロジェクトの最後までモチベーションが続かない(笑)。プロトタイプ作るのが一番楽しい。

清水:私はディレクタもプログラマもやってるから、それはすごく分かります。いわゆる”クリエイティブ・ディレクター”のモチベーションは全然違う所にありますね。フィギュアで例えるなら、CDは出来上がったフィギュアを愛でるけど、プログラマはプラモデルを作るプロセスを愛するというか。

Saqoosha:僕は完成したら誰かにあげちゃう。

清水:あげちゃだめですよ(笑)。完成して飾るのが楽しい人もいるし。そのツボをわかって、くすぐってあげないと。クリエイティブを祭りにするというか、いいものを作る事ができないと思ってます。それがディレクションだと思うんです。FITCのようなカンファレンスっていうのは、それに満ちているんですよね。Flashに限らず、oFでarduino経由でステッピングモーターを動かすとか、ツールは何でも同じです。フィジカルでもオンスクリーンでもそこはあまり変わらないと思いますよね。


——–今回のFITCでは清水さんは中村洋基さんと一緒に登壇されますが、どんなお話をされるのか教えて下さい。

清水:私は基本的にディレクターなので、その立場から話をします。いま、アウトプットは必ずしもデジタルなものには限らなくて、印刷物もフィギュアもTシャツも作ってます。私が一貫しているのは、それらの作る課程で、たいていプログラムを書いているということです。androp 「Bright Siren」ではライトのパターンを全部Flashで書いて、信号にしてoFに突っ込んで、arduino経由でデバイスを光らせました。子供(すうたくん)のクラス全員のために作ったTシャツでは、お母さんたちに「こうなりますよ」ってプログラムでプレゼンしたり。ディレクションする時に「こういう感じです」と伝えられると、細かい動きまで設計できるから話が早いんですよね。中村も含め、我々がしょっちゅうやってるのはそういうことです。最終的な出力に結びつけるというよりも、意思伝達がすごくスピーディかつ正確にいった、という話になると思います。細胞がプチプチする感じをわかって欲しい。企画を作るにしてもクリエイターのくすぐり方があるので。


——–なるほど。楽しみにしています。ちなみに、お客さんは勉強するぞと思って会場にいらっしゃると思うんですが、お二人はどうやって勉強されたんですか?

Saqoosha:ひたすら、プログラムを読んで書け、と。普通の言葉でも、聞いて喋れないと。ほか、技術書は基本洋書で読みます。日本語訳を待ってられないし、訳が間違ってることもあるし。Macも英語版にしてるので、メニューが日本語だとわからない。OpenGLとかはそうやって勉強しました。

清水:Saqooshaさんは、そこがかっこいいですよね。細かいとこまで一次情報を持ってくるフロンティアですよ。ほんとにね、まだ周辺に存在しない情報を取り込んできて、組み立てて行く人なので。

Saqoosha:追求しようと思ってしてるわけじゃないんですけど..。

清水:逆に私は、知ってそうなやつにかたっぱしから電話をかけて質問しまくるほう。「サーバサイドでIP電話をコントロールして電話かけるのどうするの?!」みたいに。実際にやってる人の話を聞いて身につけていくこともある。


——–そういうことができるからいろんな人を使ってディレクションできるんでしょうね。

Saqoosha:僕は人と話すのが苦手だからGoogleに聞きます。

清水:開発者は開発者で、作るプロセスを思い出しながらニヤニヤするのが好きなんでしょうね。「アレ動いたとき楽しかったな」って。それが開発者っぽい魂で盛り上がっていく感じだと思います。

——–ありがとうございました!

Text: Akiko Saito

Information

FITC Tokyo 2013
http://fitc.ca/event/tokyo/

開催日:2013年1月26日(土)-27日(日)13:00~18:35
会場:CLASKA (http://www.claska.com/)
東京都目黒区中央町1丁目3−18

チケット販売価格:
一般早期割引 (2013年1月18日まで)
2 day Ticket ¥13,000
1 Day Ticket ¥7,000


現在、早期割引チケットについては既にほぼ売切れとなっています。
(※現在お支払い待ちの方の辞退により、都度空きが発生する場合があります)

1月21日(月)より26日、27日の各日の1日チケットを
若干枚数、通常料金にて販売いたします。

チケット販売価格:
一般チケット (2013年1月21日より販売)
1 Day Ticket ¥8,000



スピーカー:
ブランドン・エドワーズ
真鍋 大度
DELTRO INC.
グラント・スキナー
中村 洋基
清水 幹太
カイル・マクドナルド
メモ・アクテン
ポール・トラニー
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ザッカリー・リバーマン
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