南青山にある『ラットホールギャラリー』にて、2010 年7 月23 日(金)より8 月25 日(水)まで、綿谷修の新作による個展「Juvenile」を開催される。1989年よりアートディレクターとしてヒステリックグラマーおよびラットホールギャラリー発行の写真集ディレクションを数多く手がけている綿谷修。彼が夏のウクライナで4000km もの旅の果てに、偶然出会ったティーンエイジャーたちを、数年にわたって撮影したカラー写真、約30 点を展示する。

また展覧会に合わせ、ラットホールギャラリーより写真集『Juvenile』を刊行。綿谷修の新作を写真批評家・倉石信乃氏のテキストとともに収めた126 ページの写真集となっている。
綿谷修写真集 『J u v e n il e 』
2010年7月23日(金)発売
54点 126pg. 定価4200円(税込)
発行: RAT HOLE GALLERY

INFORMATION


綿谷修展「Juvenile」
2010 年7 月 23 日(金)- 8 月25 日(水)
12:00 – 20:00(月休)
RAT HOLE GALLERY
107-0062 東京都港区南青山5-5-3 B1
http://www.ratholegallery.com/

作家プロフィール

綿谷修(わたやおさむ)略歴
1963 年北海道生まれ、東京都在住。
1989 年よりアートディレクターとしてヒステリックグラマーおよびラットホールギャラリー発行の写真集ディレクションを数多く手がける。2006 年、第22 回東川賞特別賞を受賞。主な個展に「Rumor/pond」(2008/ RAT HOLE GALLERY)。主な写真集に『River Bed』(1996/Hysteric Glamour)、『遠軽』(1996/Taka Ishii Gallery)、『Renoir 』(1998/Hysteric Glamour)、『昼顔』(2004/蒼穹舎)、『Rumor』(2007/RAT HOLE)、『CHILDHOOD』(2010/RAT HOLEGALLERY)など。


プレスリリースより



今年3 月、「CHILDHOOD」と冠した写真集を刊行した綿谷修が、続く本展で発表する新作「Juvenile」は、幼年期から成人期へのつかの間にしか見ることのできない少年/少女の複雑な表情を写し出しています。大人になることを待ち焦がれながらも無邪気に川辺で遊ぶ子どもたちには、純真さ、そして闊達さといった、思春期特有の振舞いと同時に、大人に眼差されていることへの自覚があります。仲間たちとふざけ笑いあう時も、憂いた目でまっすぐにこちらを見つめる時も、完全な成熟を迎える手前の彼らの瞳は、若さが発揮する限りない可能性と、大人の世界に裏切られることへの恐れとを持ち合わせているのです。

幼年期を過ぎたジュヴナイル(年少)の時代を生きる彼らを、綿谷は「外」からやってきた観察者として、時にユーモアや憂愁を交えながらとらえています。彼らと出会い、「無条件にいいと思えた」という作者が抱いているのは、彼らの時代への憧憬でも、自身の少年時代への追憶でもなく、その存在に対する畏敬にほかなりません。川辺での遊びを真剣に生きる彼らの姿は、遠く離れたところにあっても、作者にとって、またわたしたちにとっても、密着的に近い存在なのです。

ジュヴナイルという言葉には、「幼鳥」という意味も込められています。夏の日差しのなか戯れるティーンエイジャーを写し出すと同時に、いずれは「巣立つ」彼らと綿谷の写真は寄り添い、一緒に戯れるかのようでもあります。
本展に先立ち発表した写真集『CHILDHOOD』では過去の作品を鮮やかに再編集・構成してみせ、近作《Capability》(『CHILDHOOD』所収)や《Drowning in flame》(2010 年、photographers’ gallery)を発表するなど、その手法や被写体を次々と変えていきながら、意欲的に制作を続けています。2007 年「Rumor/Pond」以来、3 年ぶりとなるラットホールギャラリーでの綿谷修展「Juvenile」にご期待ください。