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こんにちは。CBCNETスタッフのtadahiです。
先日、東京芸術大学美術館にて絶賛開催中の「マテリアライジング展Ⅱ」のオープニングに潜入してきました。

昨年のレポートはこちら
という事で、駆け足でフォトレポートをお届けします!
会期は8月8日までですよ!

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会場は上野にある東京芸術大学美術館内の陳列館


思い出横丁情報科学芸術アカデミー [OAMAS] 谷口暁彦研究室「物的証拠」

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本作、暫く見ていると、なにやら、物と映像の中の要素が関係しているのが分かります。

現在、ICCでも展示されている作品「思い過ごすものたち」と連続しているようなので、合わせてみて見ると、いろいろ発見がありそうです。

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hikohiko_materialize参考資料:昨年、谷口さんが「情報と物質とそのあいだ」というテーマで書いたエッセイがこちらに上がっています。
http://materializing.org/wp-content/uploads/2013/06/12-11s.jpg



思い出横丁情報科学芸術アカデミー [OAMAS] 渡邉朋也研究室「ツナとマヨネーズ」

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ぐちゃぐちゃになったレシートの傍らには、そのレシートの折り目が線で記された設計図のような紙が置いてあります。どうやら、この設計図があればぐちゃぐちゃになったレシートを再生産できるようです。
レシート設計図はセブンイレブンのネットプリントでダウンロードする事も可能。

東洋大学 藤村龍至研究室「google chair」

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“google”の画像検索を使って、上位1~100位までの椅子に関する画像から、椅子の構成要素を「要素数」「要素の形」「角の扱い」として抽出して類型化し、そこからそれぞれの類型を模型にしつつ、構成要素を加算しながらひとつの統合型を構成。

日本語を含む、世界9カ国の主要言語から同様の方法で統合形を構成し、最後にグローバルな統合形を構成。
人々の「無意識の中にある椅子のイメージ」を物質化する試み。

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多摩美術大学 メディア芸術コース研究室に混じって参加のyang02さんによるUrbanized Typefaceを3Dプリント出力した作品。
yang02さんは、菅野創さん、ヌケメさんととにも「ご近所ものづくり同盟」としても作品出品しています。

ご近所ものづくり同盟(菅野創 yang02 ヌケメ)「Computed Copy」

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中央の洋服を3Dスキャンして、3Dモデルにしたものを2Dにしたものが後ろに展示してあるプリント。両脇の洋服はそのプリントを貼り合わせて作ったもの。

ファッション業界に氾濫しているデザインの「コピー」現象。そのプロセスをコンピュータに行わせる事で、手作業からは発生し得ないデザインの歪みを生成させるという作品。

ご近所ものづくり同盟(菅野創 yang02 ヌケメ)「Captured Desire」

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画像から3Dモデリングを行うAutodesk 123D Catchを使って、インターネット上の画像に厚み/重みを持たせる試み。
例えば、同じ日の様々な角度のジャスティン・ビーバー画像をイメージ検索で探し、それらを3Dモデリングすると写真左端のようなジャスティスビーバーができあがる。
なんだか、奇妙な質感です。

ちなみに、Autodesk 123Dでのジャスティン・ビーバー画像の3Dモデリングはこんな感じ。メニューの3D VIEWをクリックすると3Dモデルをグリグリできる。

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写真に撮ると何故か立体感があまり感じられない


情報科学芸術大学院大学 [IAMAS] 車輪の再発明プロジェクト「針穴をあけた紙を通したRGB光源による網点プロジェクション」

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車輪の再発明プロジェクトではメディアの過去を読み解き、現在の素材や技術、社会情勢をふまえてそのあり方を探るといった活動を行っている。
写真の作品は、プロジェクションの再発明。

櫻井稔、加藤大直/Genkei、杉本雅明、東京藝術大学デザイン科企画理論研究室(藤崎圭一郎、佐々木崇人) 「BigData Materialization」

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1日1時間ごとの気象データを壷状の物体に変換し、それを高さ4m(世界最大級)のデルタ型3Dプリンターで会場内にて出力。
気象データというビッグデータを人がハグできる程のスケールに物質化する事で、0と1のビットの世界のさらなる直感的把握を促す試み。

metaPhorest(早稲田大学生命美学プラットフォーム)AKI INOMATA「やどかりに『やど』を渡してみる」

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3Dプリンターで出力した「やど」に、やどかりが気に入れば引越してもらう、という作品。会場では実際にヤドカリが出力した「やど」を背負っている映像を見る事ができた。

metaPhorest(早稲田大学生命美学プラットフォーム)石塚千晃「<Form> Synthesis : 1tipe / carrot」

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右はニンジンの細胞を様々な環境(「ホルモン」「光」「酸素量」などの条件が異なる環境)で培養した4つの植物造形。

左はグリッド状の枠の中にニンジンの細胞を並べて培養したもの。こうすれば、四角いニンジンができるのではないか、と当初は考えていたが、実際はそう簡単にはいかず、細胞の個体差が結果として形状の差異を生んだ。

植物の形状をコントロールしようとする事でむしろニンジンのもつ「野生」が浮き彫りになったそうだ。

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最後に、展示台などの什器デザインや会場構成にもこだわりがちりばめられているので、その辺にも注目してみてほしいと思います。
会場構成・設計は建築家 酒井真樹さんによるもの。



という事で、今年はバイオアート作品も何点か出品されていていたり、昨年よりさらに取り扱われるテーマが広がった感じがしました。
他にもいろいろ面白い作品が出展されていますので、ぜひ、見に行ってほしいです。
会期は8月8日まで。

8月2日にはアーティストトークも予定されているので、展示と合わせてチェックしてみてください!

ちなみに、本展の関連展示として「類推する形態」という展示が、8月2日 – 10日の間、中谷のHAGISOというスペースで行われるので、そちらもぜひ。


Information

マテリアライジング展Ⅱ
http://materializing.org/
場所:東京芸術大学美術館 陳列館
期間:2014/07/19 – 08/08
開場:10:00 – 17:00
休館日:07/22Tue. 07/28Mon. 08/04Mon.
お問い合わせ:letter@materializing.org


関連展示
類推する形態 | Deductive objects
http://www.deductiveobjects.org/
期間:2014-08-02 – 08-10
時間:12:00 – 21:00
場所:HAGISO/東京都台東区谷中3-10-25