世界第二位の経済圏となった中国。めざましい発展を遂げる中国の中でも特にエネルギッシュな街”上海”を駆け足で訪ねてきました。

「IMG SRC Shanghai」&「ONE MAGAZINE」オープン



今回の目的は、デジタル・プロダクションIMG SRCがオープンした海外ブランチ「IMG SRC Shanghai」のお披露目パーティ。2012年5月30日と31日の二日に渡り、上海スタジオに併設したオルタナティブスペース「ONE」にて、上海に滞在する日系、外資系の方に向けたパーティが開かれました。

オルタナティブスペース「ONE」

このパーティは、IMG SRCが創刊した中国語のWebマガジン「ONE MAGAZINE」(ONE-magazine.net)の創刊と、スペース「ONE」のオープンも記念したもの。ONE MAGAZINEはIMG SRCの運営のもと、上海から中国全土、台湾、香港などをターゲットとし、アジアのアートやカルチャー情報を発信する地元密着型のメディアです。今後スペース「ONE」では、ONE MAGAZINEと連動し、日本/中国のアーティストのエキシビション、ワークショップを開催していく予定とのこと。


IMG SRCの小池さんは「海外に進出するにあたり、NYやロンドンなどにブランチを出すことも考えた。上海を選んだのは、発展途上でまだ誰もやっていないことにチャレンジできる土壌があるから」とスピーチしていました。新興都市で、流行の移ろいやすい上海では、まだ人々の関心がカルチャーには向いていません。だからこそ新しい試みで一番になれる可能性にあふれた場所なのです。

熱心にプレゼンテーションに耳を傾ける現地の方々。

外資系向けのパーティでは、現地のメディア「DAMN DIGITAL」とコラボレーションし、中国語でプレゼンテーションを行いました。左から金さん(IMG SRC Shanghai)、小池さん、DAMN DIGITALのVivian Pengさん、高橋さん(IMG SRC Shanghai)、栗原さん(IMG SRC Shanghai)

スタジオをシェアしている現地デザインスタジオ「O/R」の中国人スタッフ、ヤンジュンさん(左)とチャールさん(右)。チャールさんは上海の美大を卒業後、Webマガジンの求人がきっかけで入社されました。現在はデジタル・アートの制作などに興味があるそう。

パーティ会場には上海在住のクリエイターや代理店の方のほか、日本から視察に訪れていた1-10designさんやソニックジャムさんらデジタルエージェンシーの方もいらっしゃって、東京にも負けないような熱気に包まれていました。

ハッカーズスペース「新车间(Xin Che Jian)」



現地のギークに会ってみたい!ということで、上海で最初に生まれたハッカースペース「新车间(Xin Che Jian)」にお邪魔してきました。案内してくれたのは、スペースの管理人であるMin Lin Hsiehさん。彼女はファウンダーのRicky Ng-Adamさんの奥さんで、職業はエンジニア。現在は仕事が終わった後にこの場所の管理を行っています。

Xin Che Jianがあるのはオシャレなフランス租界エリア。エージェンシー「ワイデン+ケネディ」と同じビルの2階フロアの半分を使った、広々としたスペース。

現在の会員は中国、フランス、アメリカなど様々な国籍から60名ほど。現地で働くエンジニアらの割合が多いです。メンバーは月に100元を払い、好きな時にスペースを利用します。毎週水曜日にはオープンスペースとして開放し、一般の人との交流の場を設けています。東京など、他都市のハッカースペースとの交流もあります。


スペースにはハンダごて、グルーガン、ドリルから3Dプリンタまで、電子工作に必要な設備が揃っているほか、ArduinoのキットからLEDや抵抗など細々とした部品も在庫もしています。上海の電気街まで買出しに行かなくても、ここで全てまかなえてしまう親切ぶり。スポンサーからもらったワインセラーを使って植物の水耕栽培をする実験もされていました。


Xin Che Jianでは一般の人向けのイベントも盛んに行われています。目玉イベントは、スペース内にレーシングコースを作って自作ロボットで競う「ロボレーシング」。ちなみにこちらが前回優勝したロボ。他にもドークボット上海や、子供にはんだ付けを教えるワークショップ、プロセッシングを学ぶワークショップも行っています。今後はお料理のワークショップなど、ギークでない催しもやりたいとのこと。


広々としたロッカースペース。ロッカーは有料で借りられます。


センサーでラインを辿って走る自走マシン。


メンバー作の「ネズミ捕獲器」。上海のDIYメカはプリミティブで勢いのあるデザインでした。


スパゲッティを糊で固めたスティックで、どれだけの重量に耐えうるか?というユニークなコンテストも(2012年6月2日に行われたワークショップより)。



部品販売のケース。補充もMin Linさんが行っています。

私たちが訪れたのは金曜の夜で、会員の皆さんが集まってワイワイ開発していてとても楽しそうでした。見学も大歓迎とのことなので、上海を訪れたギークの皆さんはぜひ行ってみてください。

おまけ


上海のおいしいものも堪能してきました。アテンドしてくれたのは、Great Works ShanghaiのKASUMI
KANAZAWA
ちゃん。去年から上海に移住した彼女。上海の美味しいお店やヒップなスポットをいろいろ教えてもらいました。


路上の露店。明らかに未就学児童が働かされていて心が痛みますが味は確かです。スープは薄味ですが、麺に味が付いているのでツルツル食べられます。おじさんがその場で麺を打ち、ゆでたものを出すので麺がモチモチしていてとっても美味しいんです。これで10元(130円)。

こちらは中国四千年の歴史が誇る食文化「火鍋」。このボリュームで二人分で230元(2900円)くらい。日本の三分の一以下の価格で食べることができます。スープにも漢方の素材がふんだんに使用され、日本の火鍋よりも濃厚な味わい。上海に来たら絶対食べたい一品です。


上海のリバーサイドエリア「外灘」でもひときわおしゃれな、倉庫を改造したリノベーションホテル「The Waterhouse」のレストランが「Table No. 1」。イギリス人シェフのJason Athertonがプロデュースし、モダンなヨーロッパ料理を味わうことができます。


最後に


上海のカフェはほとんどwifi接続できるところが多いです。ノマドワークできるか..と思いきや、VPNを契約しないと youtubeもTwitterもFacebookもVImeoも見ることができません。食費も滞在費も格安で、美味しいご飯とマッサージが楽しめる上海で旅をしながらノマドワークをしたい..と思っている方は、必ずVPNを契約したほうが良いでしょう。また近々、上海を訪れてみたいと思います。


Text by Akiko Saito (A4A)

Information



A4Aは、新しいクリエイティブのあり方を提案する会社。WEB、インスタレーションの技術や映像のクオリティ、マネジメント、プロダクション機能を活かし、グローバルを視野にいれたメディアアーティスト/デジタルアーティストへの貢献とクライアントワークへのサポート・受注・プランニングを行います。イベントやワークショップの開催、国内外のエキシビションへの参加サポート、アーティスト同士のコミュニケーション、コラボレーションを積極的に行い、そこで生まれるものを商品化するなど、アーティストが、広告とアート活動とのバランスに悩むことなく表現活動を行うことができる環境をアーティストと作りあげていきます。

http://a4a.jp/
http://www.facebook.com/A4Ajp