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Robert Frank Tunnel (video still), color and black & white, 4 minutes, 2005 © Robert Frank


Steidlの創業者であるアートブック界の巨匠ゲルハルト・シュタイデルが世界的な写真家ロバート・フランクとともに企画した展覧会「Robert Frank: Books and Films, 1947-2016」が11月11日より、東京藝術大学大学美術館の陳列館にて開催される。

本展は世界50都市を巡回中で、10都市目にあたる東京展では、フランクの作品や写真集に加えフランクがシュタイデルとともにどのように一冊の写真集を生み出すのか、手紙や素材のサンプルなど普段は表に出ることのない貴重な資料も展示する。

フランクのヴィンテージプリントは現在の美術市場で約8,000万円もの値がつき、収蔵するアメリカの美術館は国外への貸出を禁じ、自らも年に数日しか展示を行わない状況だ。これに対してフランクは、自身の作品をとりわけ新しい世代に見て欲しいと訴え、「教育」を軸として美術市場に抗う独特な展示をシュタイデルとともに企画した。

その企画は、ドイツ最大の日刊紙 「南ドイツ新聞 (SüddeutscheZeitung )」 から提供された新聞用紙にフランクの写真を印刷し、学校や美術館などの公共性の高い場所を使って無料で公開するというものだった。そして、展示作品は、美術市場との関係を断つというコンセプトのもと、会期終了とともにパフォーマンスによって破棄される。

東京展では東京藝術大学の学生が主体となって、展示構成・イベントの立案から、広報・什器の製作までを行い、開催に至る過程も含めてこれまで以上に「教育」を意識したものとなっている。

会期中は、ゲルハルト・シュタイデルによるレクチャーや、ロバート・フランクを追った新作ドキュメンタリー映画『Don’t Blink』上映会、シンポジウムなども予定されているので、ぜひ合わせてお楽しみ頂きたい。

詳しい情報は公式サイトに随時アップされているのでぜひご覧いただきたい。
http://steidlxtua.tumblr.com/


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Robert Frank checking the cover of the Steidl edition of The Americans in Göttingen, 2007 © Gerhard Steidl


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© Copyright John McCarthy 2014 左:ロバート・フランク 右:ゲルハルト・シュタイデル


Information

Robert Frank: Books and Films, 1947-2016
http://steidlxtua.tumblr.com/

会期:2016年11月11日(金)~24日(木)
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館 (東京都 台東区 上野公園12-8)
開館時間:10:00~18:00(会期中無休 / 入館は17:30まで)
入場無料

主催:Steidl社、東京藝術大学 デザイン科 視覚伝達研究室、POST
協賛:キヤノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社 熊野新聞社、株式会社 資生堂、株式会社 ディライト・クリエーション、東京ドイツ文化センター、PUNCTUM TIMES、写真文化首都「写真の町」東川町、BXG株式会社、株式会社 横浜水信(50音順)
特別協力:shashasha
協力:The Tokyo Art Book Fair、株式会社テレビマンユニオン

オフィシャルカタログ
価格:500円
仕様:英語版/全64ページ
「Süddeutsche Zeitung(南ドイツ新聞)」の通常フォーマットにのっとった新聞形式によるカタログが南ドイツ新聞社より発行され、会場にて販売されます。

東京展オリジナルカタログ
展覧会の企画・準備の過程をまとめたカタログを会場にて配布します。


ゲルハルト・シュタイデル ワークショップ
日時:2016年11月9日(水)  13:00~16:00(12:30開場)
会場:東京藝術大学 美術学部 絵画棟1階 大石膏室
見学:先着20名・事前予約制
※予約については時期が近づきましたら[新着情報]にて告知致します。
参加費:無料

「Steidl Book Award Japan」から選考された5名と藝大から選ばれた5名の計10名に対して、シュタイデル氏が本づくりに関する具体的なアドバイスを個別に行うワークショップを開催いたします。 ドイツの出版人ゲルハルト・シュタイデル氏が、日本の若い世代と交流をはかりながら国や文化の違いを超えて、本づくりの魅力とその可能性を伝える貴重な教育機会です。

ゲルハルト・シュタイデル レクチャー
日時:2016年11月10日(木) 15:00~16:30(14:30開場)
会場:東京藝術大学 中央棟 第一講義室
定員:先着150名・事前予約制
※予約については時期が近づきましたら[新着情報]にて告知致します。
※イベント当日に席に空きが出た際は当日席をご用意致します。
シュタイデル氏に著名なアーティストたちとの本づくりをめぐる体験を紹介していただきます。

新作ドキュメンタリー映画『Don’t Blink』 by Laura Israel上映会
日時:11月23日(水・祝) 13:00〜(12:30開場)
会場:東京藝術大学 中央棟 第一講義室
定員:先着60名・事前予約制(事前予約についてはwebにて告知致します。)
参加費:無料

ロバート・フランクを追った新作ドキュメンタリー映画『Don’t Blink』を2017年4月の日本公開に先駆けて上映致します。
——写真集『The Americans』(1958)以降、現代写真を代表するロバート・フランク。映画でもインディペンデントの潮流に影響を与えた彼が今まで語ることのなかった人生とアメリカンカルチャーの時代。

鈴木理策×松下計 シンポジウム『PHOTO & PHOTOBOOK(仮)』
日時:11月23日(水・祝) 15:00〜 (14:30開場)
会場:東京藝術大学 中央棟 第一講義室
定員:先着150名・事前予約制(事前予約についてはwebにて告知致します。)
参加費:無料
出演:鈴木理策、松下計
新作映画上映会につづいて、写真家 鈴木理策とグラフィックデザイナー 松下計をパネラーに迎えシンポジウムを開催致します。

クロージングイベント
日時:11月24日(木) 19:00開始
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館
定員:先着100名・事前予約制
※予約については時期が近づきましたら[新着情報]にて告知致します。
参加費:無料
出演:ハラサオリ、Marty Hicks(随時更新致します)
会期の終了とともに作品を破棄するというコンセプトのもと、パフォーマンスをおこないます。


Profile

ロバート・フランク
1924年、スイス生まれの写真家・映像作家。1947年にアメリカに移住。1959年に発表した写真集『The Americans』は、それまで注目されることのなかったアメリカ社会の一面を切り取ったことで見る者に衝撃を与えるとともに、写真表現の新たな試みとして高い評価を得た。1950年代後半からは映像製作を中心に活動するようになる。家族や友人たちとともに制作した初の映像作品『Pull My Daisy』や、虚構と現実が入り交じる独自の作品スタイルを確立した『Me and My Brother』など、多くの映像作品を発表している。92歳を迎える現在もSteidl社との写真集など精力的に活動を続けている。

ゲルハルト・シュタイデル
1950年ドイツ生まれ。1967年にデザイナー、出版人としての活動を始める。1968年、出身地であるドイツのゲッティンゲンにてSteidl社を立ち上げ、ヨーゼフ・ボイスなどの美術展のポスター制作から着手。1972年に初となる書籍を出版し、以降、文学、アート、写真の本へと活動の幅を広げる。現在では編集、デザイン、印刷、製本、出版までを自社で行う独自のスタイルでアートブック業界を牽引している。 2013年にドキュメンタリー映画『世界一美しい本を作る男』が日本で公開され注目を集めた。