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昨年、「いま、映像でしゃべること? 」と題して行われた東京藝術大学大学院映像研究科によるGALAXY Lab. (昨年のCBCNET記事)の発表が今年も9月25日(木)〜10月5日(日)の間、渋谷ヒカリエ 8/ CUBE+COURTにて開催される。

GALAXY Lab. は2013年4月にサムスン電子ジャパン株式会社の協力のもと、スマートフォン、デジカメなどの多機能、高性能の時代の映像について考えるためにたちあげられた。以来、学内外のさまざまな参加者とともに研究・作品制作を行ない、年に一度、発表を行なっている。

今年のテーマは、「Accidental Tools ―予測不可能な文房具―」。
昨年は動画撮影機能に特化していたが、今年はアプリケーションに注目する。スマートフォンというコンピュータは、決して一直線に発達してきたものではない。むしろ複数の偶然の出来事が積み重なることで、進化してきた装置であり、商品としてのスマートフォンが完璧であるが故に、その偶有性は本体の影に隠れている。スマートフォンの内部を覗き見てみると、そこには、まだ掘り起こされていないさまざまな可能性が隠れていることがわかる。本年のGALAXY Lab.は、この偶有性の発掘に挑戦する。

今回開発したアプリは二つ。
一つ目は「アフレコ・カメラ」。これはアニメの背景を撮影するカメラアプリだ。実写にアニメを重ねるのではなく、用意されたアニメに風景や人物を位置合わせしながら撮影することができる。会場では、このアプリを使った作品発表や制作ワークショップが行われる。このアプリを使って撮影された動画はこちらのページにも上がっているのでチェックしてみてほしい。

二つ目はARアプリ。QRコードではなく、画像そのものをターゲットにするものだ。このアプリを使って、渋谷の街をさまざまな形で、掘り起こすフィールドワークを行ってきた。期間中には、その成果を発表する「渋谷 AR ツアー」が行われる。ツアーでは、過去の渋谷と現在の渋谷、あるいは未来の渋谷が交じった物語が展開する予定。

また、トークイベントとして、10月3日には、細馬宏通(滋賀県立大学人間文化学部教授)+藤幡正樹(東京藝術大学大学院映像研究科教授)による『アニメでメディアを作る?』、10月4日には、萩原朔美(多摩美術大学造形表現学部教授)+藤幡正樹による『拡張現実感って何?』が予定されている。

会場では、アプリの入ったGALAXY端末を借りて自由に体験できるので、ぜひ実際に使ってみてほしい。


竹内正人による「アフレコ・カメラ」を使って撮影された映像

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Information

東京藝術大学大学院映像研究科オープンラボ
「Accidental Tools ―予測不可能な文房具―」GALAXY Lab. 2014

http://glab2014.tumblr.com/

日時:2014 年9月 25 日(木)~ 10 月5日(日)
開催時間:11:00 ~ 20:00
会場:渋谷ヒカリエ 8/ CUBE + COURT(東京都渋谷区渋谷 2-21-1 渋谷ヒカリエ8階)
9月 25 日(木)~ 10 月5日(日) CUBE ワークショップ、上映、展示
10 月3日(金)~ 10 月4日(土) COURT 上映、プレゼンテーション、トーク、展示デモ
入場料:無料、事前申込不要
主催:GALAXY Lab.(東京藝術大学大学院映像研究科+サムスン電子ジャパン株式会社)
協力:渋谷ヒカリエ
会場アクセス:東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」15 番出口と直結。
JR 線、東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」と 2F 連絡通路で直結。

【参加アーティスト】
藤幡正樹研究室(藤幡正樹、大柿鈴子、清水玄、武内佳世、玉木晶子、竹内正人)、 萩原朔美、藤田至一、古橋太海、仲本拡史、ほか(予定)

【上映/プレゼンテーション/デモンストレーション】
10 月 3 日(金)13:00 – 19:00
10 月 4 日(土)11:00 – 20:00
会場:渋谷ヒカリエ 8/ COURT
*プログラムはホームページで発表いたします。

【トークイベント】
1)『アニメでメディアを作る?』
10 月 3 日(金)17:00 -18:30 スピーカー:細馬宏通(滋賀県立大学人間文化学部教授)+藤幡正樹(研究推進・教授)

2)『拡張現実感って何?』
10 月 4 日(土)16:00 – 17:30 スピーカー:萩原朔美(多摩美術大学造形表現学部教授)+藤幡正樹(研究推進・教授)
会場:渋谷ヒカリエ 8/ COURT 入場料:無料、事前申込不要

トークイベント / スピーカー・プロフィール

細馬宏通(ほそま・ひろみち)
1960 年兵庫県生まれ。滋賀県立大学人間文化学部教授。京都大学理学部卒。京都大学大学院理学研究科博士課 程修了(動物学)。介護施設、祭礼、演劇、ゲームなどさまざまな場面での会話と身体動作の関係について研究。 また、音楽、アニメーション、絵はがきをはじめ19世紀以来の視聴覚文化にも関心を寄せている。著書に『うた のしくみ』(ぴあ)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』(新潮選書)、『今日の「あまちゃん」から』(河出書房新 社)、『絵はがきの時代』『浅草十二階(改訂新版)』(青土社)、『絵はがきのなかの彦根』(サンライズ出版)など。

萩原朔美(はぎわら・さくみ)
1946 年東京生まれ。映像作家。エッセイスト。67 年寺山修司主宰の演劇実験室・天井桟敷で役者、演出家と して在籍。渋谷にあった天井桟敷館の柿落とし公演を演出。80 年に渋谷パルコが発行した月刊『ビックリハウ ス』を編集。さまざまなイベントを企画した。現在多摩美術大学教授。著書に『定点観測』(パルコ出版)、『思 い出の中の寺山修司』(筑摩書房)、『死んだら何を書いてもいいわ』(新潮社)、『劇的人生こそ真実』(新潮社)、
『時間を生け捕る』(フィルムア―ト社)。他多数。母は小説家萩原葉子。祖父は詩人萩原朔太郎。

藤幡正樹(ふじはた・まさき)
1956 年東京生まれ。メディアアーティスト、東京藝術大学大学院映像研究科教授。1996 年、《Global Interior Project #2》がアルスエレクトロニカのインタラクティヴアート部門においてゴールデンニカ賞を受賞。1997 年にインタラクティヴな書物をテーマにした《Beyond Pages》が ZKM のパーマネントコレクションとなる。 2009 年の《Simultaneous Echoes》で芸術選奨を受賞。著書に『アートとコンピュータ』(慶應義塾大学出版 会、1999)、『不完全な現実』(NTT 出版、2009)など。
http://www.fujihata.jp