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作曲家・安野太郎のゾンビ音楽の最新CDアルバム『カルテット・オブ・ザ・リビングデッド』が3月22日にpboxxレーベルからリリースされるのに伴い、東京と横浜でリリース記念コンサートが行われる。

ゾンビ音楽とは、2012年から安野が取り組んでいるゾンビと呼ばれる自動演奏機械の音楽(リコーダーにコンプレッサーで空気を送り音楽を奏でる)。
この音楽は一見(一聴)すると笛を吹くロボットによる自動演奏の音楽に見え(聴こえ)る。しかし、安野はこのロボットのことを「ゾンビ」と呼んでいる。

そもそもロボットは、人間が行う仕事を機械で代行したりなど、現実世界に存在するものの動作を機械に置き換えるものだ。
安野の造った機械がロボットによるリコーダーの演奏であると言うのなら、この機械はドレミをきちんと奏でるべきだ。しかし、安野の開発したロボットはドとレとミの音が出ない。ドとレとミとファとソとラとシの音も出ない。
これではこの機械を「ロボット」と呼ぶことができないという事で、考えた末「ゾンビ」という言葉にたどり着いた。ゾンビは架空の存在であり、こうであるという定義は様々である。

ここではゾンビを『肉体をかろうじて留めたままその肉体が本来持っていた意思とは別の意思で動いてるもの』と定義し、このリコーダーを吹くロボットをゾンビと呼び、ゾンビが奏でる音楽をゾンビ音楽と呼ぶ。

2013年にはE.イェリネク作/小沢剛演出「光のない プロローグ?」(F/T13)での演奏、第7回JFC作曲賞受賞(主催:日本作曲家協議会)、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品など各方面で話題を呼んでいるゾンビ音楽。

気の抜けた奇妙な自動演奏リコーダーによる形容し難いサウンド、そして音楽の印象とは裏腹の骨太なコンセプト….それがゾンビ音楽の特徴だ。

多彩なゲストを交えてのリリース記念コンサートは、東京公演が3月22日、横浜公演が3月23日となっている。
今回はカルテットという事で、果たしてどんなコンサートとなるのか、ぜひご注目頂きたい。







Information

安野太郎のゾンビ音楽『カルテット・オブ・ザ・リビングデッド』
http://zombie.poino.net/

安野太郎のゾンビ音楽『カルテット・オブ・ザ・リビングデッド』
全9曲+ボーナストラック 定価2500円(税込)
音楽:安野太郎
ライナーノート:三輪眞弘(作曲家)吉岡洋(美学者)
イラストデザイン:古泉智浩(漫画家)
録音・マスタリング:斎藤駿
パッケージデザイン:岡澤理奈事務所
安野太郎によるテキスト付き
特典映像: 映画「QUARTET OF THE LIVINGDEAD」(監督:竹内均)
      本編映像+監督と作曲家によるコメンタリー映像付き


リリース記念コンサート

東京:3月22日(土)
場所:神保町試聴室 2回公演(各回定員40名)
1回目開演 14:00 ゲスト:白波多カミン(シンガーソングライター)
2回目開演 18:00 ゲスト:毛利嘉孝(社会学者)
料金:予約3800円 当日4300円(CD付き、ドリンク込)
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-8-5 ビル西神田1階

横浜:3月23日(日)
場所:山手ゲーテ座 2回公演(各回定員100名)
1回目開演 14:00 ゲスト:竹内均
2回目開演 18:00 ゲスト:川島素晴(作曲家)
料金:予約3000円 当日3500円(CD付き)
〒231-0862 神奈川県横浜市中区山手町254

Profile

安野太郎
作曲家。79年生まれ。日本とブラジルのハーフ。バンド活動やパフォーマンスグループ方法マシンなどの活動を経て現在は単独で作曲家としての音楽活動に落ち着く。いわゆるDTMやエレクトロサウンドとしてのコンピューター・ミュージックとは違う軸でテクノロジーと向き合う音楽を作り発表してきた。代表作に映像に映ったものを言葉で描写していくパフォーマンス『音楽映画』シリーズ【AACサウンドパフォーマンス道場、ヨコハマ国際映像祭】やサーチエンジンで検索されたピアノ曲を全て弾くコンサート『サーチエンジン』【第12回文化庁メディア芸術祭】等がある。最近は『ゾンビ音楽』に心血を注いでいる。また、美術家の小沢剛氏とのコラボレーション《世界混浴タワー合唱団》や演劇グループ快快とのコラボレーション《アントン・猫・クリ》等の活動でも注目を集める。
東京音楽大学作曲科卒、情報科学芸術大学院大学修了。現在、東京藝術大学音楽環境創造科助手を経て現在日本大学芸術学部音楽学科非常勤講師、東京藝術大学芸術情報センター非常勤講師
http://taro.poino.net/