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Scene to know, 2013 420 x 297 x 30mm ©Nerhol


原宿・VACANTにて、11月22日から12月6日まで、Nerhol個展「Scene to know」が開催される。

Nerholは田中義久と飯田竜太で結成されたアーティストユニット。両者の思考論を一つの作品に着地させる試みは、様々な境界をジャンルレスにするポテンシャルの高さで評価を得ている。2012年に開催された展覧会「Misunderstanding Focus」は先鋭的なインパクトから、各方面で大きな反響となった(昨年のインタビューはこちら)。今回の作品「Scene to know」の一連は、Nerholの2人がここ1年VACANTに通い、そこに足を運ぶ人達を撮りためてきた作品群になっており、本展に合わせ制作された約40点のセレクションで構成される。

Nerholの作品は、ごく単純なひとつの事実を私たちに知らしめる。すべてのものには固有の深層があるが、私たちはそれをつねに表層として(のみ)知覚する。ゆえに、その深層が表層として知覚されるには、そこに何らかの変換が介在せねばならない。彼らの近作(Misunderstanding Focus)で試みられていたのは、端的に言えばそのような変換の方法を刷新することである。人間の顔を膨大な連続写真によって捉え、その合間に存在する時間のレイヤーを空間的にえぐりとった彫刻作品は、私たちの顔が「表/面(おもて)」であるという事実を決して裏切ることなく、時間の流れのもとに置かれたその深層を特異な仕方で変換する。
顔だけではない。私たちの知覚はいつでも世界の表層へと向けられる。だから、仮にその背後にあるものが見えるのだとしたら、それはつねに嘘か錯覚にとどまるだろう。VACANTというひとつの場にも、もちろんさまざまなものが堆積している。私たちはそれを直接的な仕方で見ることはできない。しかしそれでもなお、そこにさまざまな人間や、事物や、関係の痕跡が、見いだされるべき光景—Scene to know—として堆積していることは確かなのだ。層状の奥行きを与えられたその写真=彫刻は、この空間を貫く運動や時間を削り出すための、作品という名の変換装置として作動する。

星野太(美学/表象文化論)


12月5日にはトークショーも予定されており、Nerhol、保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) 、石田尚志(画家/映像作家、多摩美術大学准教授) 、菊竹 寛(タカ・イシイギャラリー) が出演する。

今回も、気合いの入ったNerhol個展、是非お見逃しなく!

Scene to know / Daily, 2013 420 x 297 x 30mm 5/8 Parts ©Nerhol

Scene to know / Daily, 2013 420 x 297 x 30mm 5/8 Parts ©Nerhol


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Information

Nerhol個展「Scene to know」
http://vacant.n0idea.com/
http://www.nerhol.com/

日時:2013.11.22 (fri) ~ 2013.12.6 (fri)
時間:12:00 – 20:00 (月曜定休) *最終日は18時までのオープンとなります
入場料:無料
場所:VACANT 2階
東京都渋谷区神宮前3-20-13
03-6459-2962
主催:Nerhol / VACANT

オープニング・レセプション : 11月22日(金)18:00 ‒ 21:00

トークショー:12月5日(木)19:30 ‒ 21:00
入場無料
出演:Nerhol、保坂健二朗(東京国立近代美術館主任研究員) 、石田尚志(画家/映像作家、多摩美術大学准教授)、 菊竹 寛(タカ・イシイギャラリー)

ご予約:
booking@n0diea.com
上記のアドレスまで予約をメールをお願い致します。
その際、件名には「Nerhol トークショー」とし、本文にお名前、人数、ご連絡先をご明記ください。
※ご予約は12月4日の24時までとさせていただきます。