映像作家・坂野充学による個展「VISIBLE BREATH」が3331 Arts Chiyoda 1F メインギャラリーBにて10月14日より開催される。

以前、MC・4CE FINGER, トラックメイカー・sakuHanaとのプロジェクト「BEEP DEEP BEEP」でCBCNETでも紹介した坂野充学。

坂野は2008年より、伝承をテーマにしたプロジェクトに取り組んでおり、やがて自身が生まれ育った石川県白山市鶴来(旧鶴来町)へとたどり着く。本作「VISIBLE BREATH」は、地元の蔵を改修したスタジオを構え、鶴来内外の協力者を募りプロジェクトチームを形成し、実に4年がかりで完成させた大作。

生活に溶け込んだ地元の祭りや風習、文化。当然のように受け入れ、自身の体に染み込んだそれらは、一体どこからきたものなのだろうか。こうした疑問から時代を遡り、同地での文化形成の記憶を紐解いていくなかで、地元の民俗学研究者・村西博二との出会いが制作活動に大きな影響を与えた。地元の民俗学”研究者”である村西が語る物語は、鶴来という地域を超えて日本の神話、渡来人のルーツなど数千年の歴史に及ぶスケールを持つ魅力的な”フィクション”だった。

本作では、村西の語りや伝承、坂野自身のフィールドワークをもとに、古代から現代まで5つの異なる時間軸でそれぞれの物語が展開される。渡来してきた者たち、製鉄文化の伝播、神秘的な自然の変化など、5つのスクリーンに映し出される物語は「現代/未来」に照応され、ときに呼応しながら進んでいく。豊かな自然に育まれ、また白山信仰のもと海と山を繋ぐ交易の街として栄えてきた鶴来。習わしや文化は受け継がれ、変容し、時を超えていく。その”息づかい”を感じ、営みの軌跡をたどることで、土地、人、時が交わり、重なり合う。それらが織りなす多層的な世界から聞こえてくる息づかいに、私たちは何を想像し、どのような物語を語り継いでいくのだろうか。

10月14日には、鷲田めるろ(金沢21世紀美術館キュレーター)をゲストに迎え、坂野によるオープニングトークが予定されている。鶴来のアートプロジェクトや伝統芸能の伝承と変化、また本作品に至るプロセスなどを中心に対談し、映像の可能性について考察する。参加申し込みはこちらより。



Information

坂野充学 個展 VISIBLE BREATH
http://sakano.3331.jp/

日程:2012年10月14日(日)~2012年11月04日(日)
時間:12:00-19:00
休み:火曜日
料金:無料
会場:1F メインギャラリーB

主催:3331 Arts Chiyoda/協賛:東リ株式会社/特別機材協力:GENELEC(オタリテック株式会社)
キャスト:秋本泰英、蜂谷晏海、三坂知絵子、村西博二、川合藤丸
協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社

【オープニングトーク】
■日時=10月14日(日)16:00-17:30
■ゲスト= 鷲田めるろ(金沢21世紀美術館キュレーター)
■参加費=1,000円(1ドリンク付)
■場所=3331 Arts Chiyoda 1階 コミュニティスペース
■お申し込み=右記URLよりお申し込みください。http://artsfield.jp/lecture/000270.html

【オープニングパーティ】
オープニングトーク終了後、作家を囲んでささやかなパーティを行ないます。

Information

坂野充学[さかの・みつのり]
1977年、石川県生まれ。アーティスト、映像ディレクター。イーストロンドン大学ファインアート科卒業。3331 Arts Chiyodaの共同設立に参加。現在はコミュニケーションディレクターとして同館の企画・運営に携わる。近年は、特定の場所で地域住民と 共同制作をし、そのプロセスを通してできた関係性や出来事を、映像やインスタレーションといった表現媒体に構築するプロジェクトを行っている。主な個展に2007年「BEEP DEEP BEEP」(プロジェクトスペースKANDADA/東京)、主なグループ展に2009年「A Starting Point: Intrude Art & Life 366」(上海証大現代美術館/上海)、2010年「Spontaneous Order」(Takuro Someya Contemporary Art、東京)など。