国際的に活躍しアジアのコンテンポラリーアートシーンを代表する韓国出身アーティスト、ス・ドホの活動の全貌を日本で始めて紹介する展覧会「ス・ドホ in between」が広島市現代美術館にて開催されている。

2010年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展への出品など、活躍の場を世界に広げる、ス・ドホは、異文化との折衝に身を置き、移動やそれに伴うアイデンティティーの変化をテーマに90年代半ばから布を使った建築的作品や、人型を用いた大型のインスタレーションを制作してきた。アジアの手工芸が持つ繊細さと、集合体のパワーが放つダイナミズムを備えた作品は、驚くほど精巧で、感嘆の声が上がるほど大掛かりなものだ。

本展では「移動と可動建築」、「ひとびとの力」の2部構成で、日本で初公開となる初期作品から近作まで、ス・ドホの活動を広く紹介する。

《ブループリント》2010、広島市現代美術館での展示 / Photo: Toshiyuki Nakao (CACTUS)

家族、伝統、民族などの出自を象徴する「家」をモチーフにした代表作では、軽やかな半透明の布や精巧に作られた模型で、移動の時代の記憶、身体性、個人空間の概念などを視覚化する。さらに個と集団の関係性に目を向けるス・ドホは、パーソナルな視点から、文化、歴史、社会というパブリックなものを見つめていく。日本の同時代文化から受けた影響も見いだせるス・ドホの造形世界に本格的に迫る展覧会だ。

日本初お目見えの、2010年ヴェネチア建築ビエンナーレで発表された《ブループリント》(2010)も見物。

会期は10月21日まで。お見逃しなく。


Information

ス・ドホ in between
http://www.hiroshima-moca.jp/doho/index.html

会期:2012年8月4日(土)〜10月21日(日)
開館時間:午前 10 時 – 午後 5 時 ※入場は閉館 30 分前まで
休館日:月曜日(※ただし、8 月 6 日、9 月 17 日、10 月 8 日は開館、翌日は休館)
観覧料:一般 1,000(800) 円、大学生 700(600) 円、高校生 500(400) 円
※ ( ) 内は前売りおよび 30 人以上の団体料金
※小中学生、65 歳以上は無料
主催:広島市現代美術館、中国新聞社
助成:公益財団法人 花王 芸術・科学財団
後援:駐広島大韓民国総領事館、駐大阪大韓民国総領事館 韓国文化院、広島県、 広島市教育委員会、中国放送、広島エフエム放送、尾道エフエム放送
協力:大韓航空

Profile

ス・ドホ Do Ho Suh
1962 年韓国、ソウル生まれ、ニューヨーク、ロンドン在住。ソウル大学校で東洋 絵画を学び渡米、ロードアイランド・デザイン学校で絵画、イェール大学にて彫刻 を学ぶ。サーペンタイン・ギャラリー(ロンドン)、メゾンエルメス(東京)での 個展をはじめ、イスタンブール・ビエンナーレ、リバプール・ビエンナーレ、瀬戸 内国際芸術祭など多数の国際展に参加。2001 年ヴェネチア・ビエンナーレ韓国館 代表、2012 年リウム・サムスン美術館(ソウル)で大規模な個展を開催。