前衛芸術の先駆者として知られる秋山祐徳太子と、話題作を次々発表する売れっ子漫画家、しりあがり寿による展覧会「ブリキの方舟」が広島市現代美術館にて開催中。

秋山祐徳太子(1935年~)は1960年代以降、「ダリコ」をはじめ、ポップ・ ハプニングと称するパフォーマンスを展開、とくに1975年、79年の東京都知事選出馬はひろく知られ、選挙ポスターが作品として全国の美術館に収蔵されている。一方で、男爵や仏像をかたどったブリキによる彫刻作品を継続的に制作してきた。

しりあがり寿(1958年~)は多摩美術大学卒業後、大手ビールメーカーにて、パッケージデザイン、広告宣伝等を担当し、1985年に『エレキな春』で漫画家としてデビュー。パロディーを中心にした新しいタイプのギャグマンガ家として注目を集め、1994年独立後は、不条理で終末的な世界を描いた作品など次々に発表。近年ではエッセイ、映像、アートなど多方面に創作の幅を広げている。

本展覧会では、秋山祐徳太子による初期から現在までのブリキ彫刻、ブリキ絵画、ハプニングの数々、しりあがり寿による墨絵ドローイング・インスタレーションに、ゆるめ〜しょん、しりあがり寿歴史資料館など、両者のこれまでの歩みを一挙公開。

それに加え、両者のコラボレーションによって構成される展示空間「ブリキの方舟」では、新旧の作品を組み合わせ、この二人でこそ可能な鎮魂と救済のかたちを提示する。しりあがりは、東日本大震災での津波をモチーフにした新作を含む複数の「ゆるめ〜しょん」を、そして秋山は津波で押し流された六角堂をモチーフにした《瞑想のオブジェ》ほか、喪失と祈りにまつわるブリキ彫刻を展示する。

それは、震災後のこの国が直面する困難な状況に対して、アーティストとして取り得る態度の表明であり、ユーモアとパロディーをもって社会に向き合ってきた両作家が描く救済のかたちと言えるだろう。

特設サイトには展覧会ができるまので映像ドキュメントも上がっているので、こちらもチェックしてみてほしい。





Information

広島市現代美術館
秋山祐徳太子+しりあがり寿
「ブリキの方舟」

http://www.hcmca.cf.city.hiroshima.jp/web/buriki/index.html

会期:2011年10月29日(土)~2012年1月9日(月・祝)
開館時間:10:00~17:00
※11月3日(木・祝)は19:00まで開館
休館日:月曜日
※年末年始は、12月27日~1月1日・4日は休館し、1月2日・3日・9日は開館します。
観覧料:一般1,000(800)円、大学生700(600)円、高校生500(400)円
※( )内は前売りおよび30名以上の団体料金
※11月3日(木・祝)は全館無料

関連イベント

◎新・オヤジの小言会議
2011年11月23日(水・祝)14:00~16:00
湯飲みや手ぬぐいでおなじみの「オヤジの小言」。しりあがり寿座長とともに意見を交わし、最新版を編纂します。
座長:しりあがり寿/対象:20才以上/定員:20名

◎恥の大品評会
2011年12月18日(日)14:00~15:00
皆さんから寄せられた恥のエピソードを前に、「恥のソムリエ」秋山祐徳太子が品評会を行います。
会場:ミュージアムスタジオ/参加無料、申込不要

◎こどもワークショップ 選挙ポスターをつくろう!
2011年12月17日(土)14:00~16:00
選挙をアートにした秋山さんの話をきいて、みんなの選挙ポスターを作ってみよう。
講師:秋山祐徳太子/対象:小学3年生以上/定員:20名

◎学芸員によるギャラリー・トーク
2011年11月12日(土)、12月11日(日)14:00~15:00
担当学芸員が展示室を回りながら作品の解説をします。
要展覧会チケット、申込不要

参加方法、詳細はこちらにて。