ホンマタカシによる写真展「ニュー・ドキュメンタリー」が、4月9日から6月26日まで、東京オペラシティ アートギャラリーにて開催中だ。

時代の乾いた雰囲気や、被写体との独自の距離感で知られる写真家ホンマタカシ。
物語や感情を表現することを嫌い、「被写体をただ写し取る」というドライな視点から生まれる写真は、表現と記録の狭間に存在し、まさに「ニュー・ドキュメンタリー」というその名にふさわしい。

本展では、雪山での鹿狩りの痕跡を追った《Trails》や、ライフワークとして東京の風景とひとりの少女を撮影しつづけている《Tokyo and My Daughter》にファウンドフォトの要素を加えた新作インスタレーションのほか、友人でもあるグラフィックデザイナーのマイク・ミルズとともにマウンテンライオンの生態を追い、これまで写真とテキストによって雑誌やブックで展開してきたプロジェクト《Together》を展示作品として初めて出品する。
巡回する美術館ごとに展示作品が微妙に違うのも本展の特徴だ。

ホンマは目の前の写真に写っているものは、あくまでも見方のひとつに過ぎず、他の見え方についての可能性やそこに孕む写真表現の多重性・多義性についても作品を通し鑑賞者へ問いかけてくる。

「写真とはいったい何か」、というテーマに触れられる機会となりそうだ。
是非とも足を運んでもらいたい。

また、同時開催で「収蔵作品展037 李禹煥と韓国の作家たち 」及び「project N 45 クサナギシンペイ」も4Fで見ることが出来る。
project Nは若手作家の育成・支援を目的として1999年12月より行われている企画だ。
「制作とは、システムの反復ではなく、未知のなにものかとの出会い、あるいは気付きのための模索」だと語る、地塗りを施さないクサナギシンペイのペインティングなど、こちらも併せてチェックしてもらいたい。

Information

ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー
http://www.asahi.com/event/homma/

会期:2011年4月9日(土)〜6月26日(日)
   11:00〜19:00
   ※金、土は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)
   ※月曜休館(5月2日は開館)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2
   http://www.operacity.jp/

Profile

ホンマタカシ
1962年東京都生まれ。’91年から’92年にかけてロンドンに滞在、若者向けファッション・カルチャー誌『i-D』で活動する。帰国後は、雑誌、広告など幅広いジャンルで活躍する傍ら、波、郊外風景、空撮、東京の子供といったテーマで作品発表を行う。’99年に東京郊外の風景とそこで生きる人々を撮影した『東京郊外』で第24回木村伊兵衛写真賞を受賞。


主催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団、朝日新聞社
特別協賛:ジャパンリアルエステイト投資法人
協賛:ヘーベルハウス、株式会社 大伸社
協力:エプソン販売株式会社、ギャラリー360°