実はいままで九州で展示したことがなくて、
山口のYCAMでは何度もやっているんだけど、山口より西側に行けたことがなかったんですよね。

今回、三菱地所アルティアムというギャラリーから声がかかり、
九州で初めて、しかも個展をやることになりました。

展示スペースはそこそこ広くて、
新作どーん一個、とかでも良いんだけど、
最近、頭で考えてすすめる仕事が多かったりして、あれやこれやと手を動かすことが減っていて、
そうなると、頭でアイデアを出すことはできるんだけど、
そういうものって結局、実際にやってみないと本当に有効なのかはわからなくて。

特にアートで、しかも展示だと、そういう考え落ちって厳しいですよね。
わざわざ見に行って「あー、考えてることはわかるけど、できてないね〜」ってなるの。

散々、赤岩と議論するも、なかなか突破口が見えず、
時間だけが経って行ってしまってました。

もう本当に決めないと間に合わないぞという頃になって、

「九州の人達は、うちの作品とか直に見たことない人が多いはず」
ということと、
ちょうど自分たちの作品をまとめた本を作ろうという計画があったりして、
それが途中で止まっちゃってたので、それを展示でリベンジしよう、という話や、
「一旦、自分たちのこれまでを俯瞰して見てみたい」という気分が合わさって、
「回顧展、いいんじゃねーの」となりました。

でも回顧展と言っても、僕らが生きているのでライブに編集できるんですよね、
歴史の捏造とかも可能なんですw
回顧展REMIXみたいな。回顧展HACKとか。

回顧展というテーマをネタに、遊ぶ。

というのがメインの企画になりました。

そうなると次はタイトルです。
たいてい、告知とかの入稿締め切りに追い立てられて慌てて考える羽目になるんだけど、

まー、いろいろ考えました。

ちょうど僕が東京、赤岩が福岡に離れているタイミングに締め切りが来てたので、

とにかく、体調を整えてベストコンディションで考えなくては、と思って、
浅草ROXのまつり湯で、タナカツの「サ道」よろしくサウナをキメてひねり出していたんですよ。

50個くらいだだだっと出して、一旦寝て、起きてそこでいい単語が閃いた。

“CRASH LOG”

エキソニモの履歴(ログ)を見せるということ、
僕らの歴史はPCのクラッシュと共にあったわけで、
PCのクラッシュした記録が保存されるファイルとしての「CRASH LOG」
これはド真ん中ド直球だけど、これ以外ないっしょーーーー!!!キターー!!!サウナーーーー!!!

となって、
他の瑣末候補をズラズラと並べて書きつつ、
でも、俺はこれだと思う、という感じでコンセプトを説明して赤岩にメールを送った。
そしていい仕事したな〜と寝た。

翌日、慌てて起きて他の仕事の打ち合わせの場所に向かってる途中に、メールの返信が来た。

「かっこよすぎる」

でた!ヒトコト却下!!!

確かにそう言われれば、ちょっと僕カッコつけてたかも。。。スマセン。。

実家から稲荷町の駅に向かう途中の道でいろいろ考えながら、
その時に浮かんだ別のアイデアを2,3反射的に送る。

その中に “エキソニモの「猿へ」” というのがあった。

その場では返事が来なかったので、即座に地下鉄に乗り込んで、別の仕事をこなし、
午後くらいに返事があった。

「いままで見た中だと、エキソニモの「猿へ」かなぁ」

!!

実は俺もそう思っていた。

稲荷町へ向かう途中に、変に頭がスパークしてしまって、
なぜか「俺たち類人猿」ってイメージが湧いてきて、類人猿ってなんだっけ!?なんだっけ!?え、猿?! 猿へ、なに「猿へ」って〜!俺は猿へ向かってるの?いや、猿へメッセージ送ってるのか?!何この感覚、オモロい〜、となってニヤニヤしていたのだ。

猿へ、という言葉から、いくつかのイメージが喚起される
「僕たち人類が、進化すると再び猿へと向かう」
「僕たち人類は、退化して猿へと戻っている」
「猿に向けて、メッセージを送っている」

最近の僕の興味が、人類とインターネットということがあり、
たとえばWeb Designingの連載では、人間と非人間(BOT)が共同執筆しているというテーマで書いているし、
最近、エキソニモのメンバーとして動物を入れたいなと思っていたり、

そういうのも重なって「猿」が飛び出したのかもしれない。

赤岩も、いろいろな解釈ができるのが良いというような、似たような事を言っていた。

なんというか、この、ものすごーく狭い部分での共通点が「エキソニモ」なんだ。

久しぶりに、この感覚キタ!!!

後はどういう作品をどう見せるか。
アトリエの倉庫に眠る過去作を掘り出して、見たりしていた。

たとえばObject Bという電動工具を多用した作品など、箱を開くと、あの頃の空気がブワッと立ち上がってくる。
最近「ゴットは、存在する。」などのコンセプチャルな作風とはまた違った頃のやつ。

古いPCを立ち上げると、展示用に仕込んだプログラムが自動起動する。
それぞれ、その展示の為に、必死で仕上げられた作品たち。
そいつらが数年ぶりの起動であることをいっさい厭わずに、あの頃のテンションで立ち上がってくる。

熱くたぎってクルものがある。

人間の記憶力はものすごく限定的で、ここ数回分の仕事くらいしか認識できてない。
忘れているわけではないけど、数年も前のものは、感覚的には、ほぼ消えているに等しい。

でもやっぱり、過去に真剣に取り組んだものがあると、それは未来にいる自分にもちゃんと影響を与えてくれる、
適当にやっていたら、振り返っても後悔しか残らないけど、必死でやった痕跡は、財産になる。

すっかり盛り上がってしまって、
今回の展示にも10作品以上を出すという、
正直言って展示空間とか、体力とか、場の全体のスペックを大きく上回る、気が狂ったプランに膨れ上がってきている。。。未だに毎日新しい作品の投入が検討されている。。。もうやめて。。。でもやめられない。。。

どこかで破綻するかもしれないけど、それも今、生きている証だと思って
目撃しに来てください。

↓ これも二人で盛り上がって撮った写真。何が良かったのか説明できない。
エキソニモの「猿へ」

展覧会情報
エキソニモの「猿へ」
場所:三菱地所アルティアム
◆会期: 2013/11/2〔土〕~12/1〔日〕※休館日は11/19〔火〕
◆開館 10:00-20:00 ※初日11/2は18:00オープン・入場無料
◆入場料 一般400円、学生300円 再入場可、高校生以下無料

◆オープニングレセプション (作家来場)
日時:11月2日〔土〕 
18:30 – 20:00
会場:三菱地所アルティアム(イムズ8F)
※入場無料、再入場可
予約不要

◆トークセッション
日時:11月16日〔土〕 
受付・開場18:00~
トーク開始18:30~(2時間程度)
会 場:デジタルハリウッド福岡校セミナールーム(イムズ11F)
出 演:エキソニモ/家入一真/渡邊朋也/毛利慶吾
定 員:50名
申 込:予約不要。当日、定員に達し次第、受付終了とさせて頂きます。