アレもコレもキャンセルだった2020の暮れを経て、奇跡的にオフラインで実現したフェスティバルに参加してきましたのでリポートしたいと思います。

3/5にオープンしたCanal Connectというアート、サイエンス、テクノロジーをテーマにしたフェスティバル、今回が一回目、スペインのマドリードにある劇場Teatros del Canalを会場に、キュレーターはCharles Carcopino, ディレクターにBlanca Li、ダンス練習スタジオなど劇場の色々なスペースを使ってインスタレーション展示が20点、10日間の期間中毎晩パフォーマンスやトークなどが開催されます。



僕はLasermiceを出展、ダンス練習スタジオの一つ、フラメンコ用の部屋をもらいました。Lasermiceは小型ロボット達が床を叩いて音を出すので、出音のいい床面が必要なのですが、今回はフラメンコ床ということで音はバッチリでした。そして部屋の壁にはIsrael Galvanのテキストが貼られていました。スペイン語だから読めないけど。YCAMのやつ見たかったなぁ。

面白い作品いっぱいあったんですけど、Justine EmardのSupraorganismとKaterina UndoのCreature ClusterがLasermiceと共通点があって、自作と並びで見れたことが個人的には面白かったです。


KaterinaのCreatures Clusterは光に反応して音がなる電子回路、ブザーやモータが、宙に浮いたワイヤーでできた構造体に配置されていて、それぞれが耳をすませないと聞こえないような小さな虫の鳴くような音を発しているという作品で、アンビエントミュージックな、森の中にいるような、小さな生命を感じさせるインスタレーションでした。これは本当に良かった。


JustineのSupraorganismは蜂の行動データをマシーンラーニングにかけて、抽出したパターンを元に、20台の吹きガラスの中にモータとLEDが入った構造体が光ったり鳴ったりする作品。一体どうやって蜂の行動が音や光のパターンに繋がっているのか、具体的なところを細かく聞こうとしたけれど、具体的なアルゴリズムの話までは聞けなかったので、そのうちまた会ったら聞きたい。展示されるのは今回始めてだったということなので、また見かける時がありそうな気もするので、また見たい。吹きガラスは形も透過した光もとても有機的で、音が儚げで綺麗でした。



Dries DepoorterはQuick Fix, Jaywalking, Surveillance Speakerの3作品を出していて、彼の作品はシンプルで皮肉で好きなんですが、残念ながら本人は来れず。会ってみたかったな。Quick Fixは手持ちのコインでは一番安いやつしか買えなかったので、僕はインスタグラムの50 likesを買いました。
自販機でLikeが買えたり、勝手に信号無視を警察に通報できたり、完全にディストピアなんですが、だいぶコミカルに経験できるようになってて、とても上手です。




異種間コミュニケーションをテーマにしたRocio BerenguerのLITHOSYSは浮いてる石が、横にあるiPadに表示される異種間チャットに連動して、たまに揺れてなぞの音を出す(喋る)作品で、週末には同じテーマの舞台作品「G5」を公演ということでめっちゃ見たかったけど、見れず残念。これは見たかったなー。

 

まさに「シャバの空気はうめえぜ」という感じの久しぶりの現実のフェスティバルに参加できて、僕はとてもハッピーでした。初めてちゃんとフラメンコ見れたのもよかった。あれは痺れる、また見たい。あとMadridはご飯が美味しいのも最高。街も古くて可愛らしい感じの町並みで、あんまり派手なスカイスクレイパーなどは見かけず、また来たいなーと思える街でした。天ぷらを甘いソースとか蜂蜜で食べたりするのはびっくりした。めっちゃアリだった。

 

Fundacion Telefonicaという、(スペインのICCぽい)の場所でJoanie Lemercierの個展がやってて、見に行きました。今まであんまりちゃんと彼の作品を知らなかったので、「プロジェクションマッピングとかをやってるアーティストが何故か、環境アクティビストでもある。」ぐらいに思っていたのですが、彼の作品には山、ランドスケープをモチーフにした作品が多数並んだ最後に、ハンバッハ鉱山を批判する作品が出てくるのですが、流れで見ると、彼が如何に自然を愛し、何故これに今注力しているのか、よくわかる、良くできた展覧会でした。
この生物多様性で知られた森を伐採して作られた、欧州最大の鉱山の映像は、巨大すぎる採掘機がショッキングであると、同時にその広すぎる掘った跡は、悲しいかな、美しくもありました。